レガリス
□4話
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朝10時、集合場所の地元の最寄駅にはもうすでにさゆりが待っていた。
「あ、来た来た!よくちゃんと来たねーえらい」
さゆりがまゆらの背をパシリと叩いた。
「そりゃあね…」
まゆらはフラフラしながら頷いた。
「ちょっと大丈夫?なんかゆらゆらしてるけど…」
「うん…全然寝られなくってさ…」
「楽しみにしすぎじゃん」
「………」
もはや返す言葉がない、とまゆらは肩を落とした。
程なくして千秋と神田が揃って現れた。
千秋が大きな声で「待たせてごめーん!」と駆け寄ってくるのに対して、神田は表情のない顔で軽く会釈をした(ような気がした)。
なんて対照的なコンビだろうと、まゆらは思った。
「それで…今日はどこに…?」
まゆらはおずおずとさゆりに聞いた。
この2週間、何度行き先を聞いても『当日のお楽しみ』で流され続け、まゆらはついに目的地を知らずじまいだった。
「フッフッフ、今日の目的地はここ!」
さゆりが差し出したスマートフォンの画面には水族館のホームページが映っていた。
「えっ………す、水族館………」
まゆらはたじろいだ。
(このメンバーで水族館なんて盛り上がるの?…話、続くかな……)
不安な気持ちがさらに膨れ上がったまゆらは横目に神田を盗み見た。
相変わらず無表情で、彼が何を考えてるのかまゆらには分からなかった。
「まゆら、水族館嫌いだっけ?」
さゆりが不安そうな上目遣いで言った。
「そんなことないよ、魚好きだし」
まゆらは急いでニッコリ笑った。
「魚好きって…でもよかった〜。選択ミスったかと思った…」
千秋がホッとした顔で言った。