The world that was tied up

□一緒
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私は今マキシマと外にいる。
人通りの多い場所。
そこは今まで私の色相じゃ行けるような所じゃなかったが、今こうして虫を殺すことさえ出来ないような正常な人々と同じように存在していた。

「…どうやったんですか?」

素直にそう思った。
それと同時に、今だけでもこのシステムに認められているということに嬉しさを覚えた。

「君は知らなくていい。それよりこの状況を楽しんだらどうだい?」

さあ行こう、と手を引かれる。
この人に感謝することは多いけれど、少し苦手かもしれない。

「どこか行きたい所はあるかい?どこでも連れて行くよ」

「どこでも…」



私達が訪れたのはあまり人気の無い公園だった。
そこはホログラムも殆ど無くて、まさに自然の中にある公園だった。

「もっと綺麗な公園もあっただろうに…どうしてここを選んだのかな?」

「…こういう所だとシビュラシステムに縛られている気がしないんです」

マキシマさんは私の言いたいことが分かったのか、少し微笑んでみせた。

「街にはシビュラのたくさんの目が人々を見張っている。でもこういう所だと、少しだけそれを忘れられるから…」

何だろう、言葉にするのがすごく難しい。

「分かるよ」

そんな私の理解し難い言葉を、彼は容易く理解した。

「…こんな世界、間違ってる」

ふと呟いた。
正義も悪も分らないようなこの世界に対して。
そしてその小さな言葉をマキシマは聞き逃さなかった。

「なら壊してしまえばいい…僕と一緒に」

「…」

かと言って、マキシマが正しいとも思わなかった。
でも、少なくともシビュラシステムよりは良いと思う。
そう思うのは、シビュラシステムに否定された私だからかもしれない。

「シビュラシステムに支配されるよりは…あなたに支配される方がずっと良いですね」

そう言って微笑むと、彼も満足そうに微笑んで私を抱き寄せる。

「僕は、案外君が好きなのかもしれない」

また、彼は満足そうに微笑んだ。
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