osomatsu

□ひっつき虫
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一松は偶にこうして嫉妬する事がある。そこまでしつこい訳じゃ無いが、猫にまで嫉妬するのはどうなのか。
彼は再び抱き着いて離れなくなる。毎日家に来てはこんな感じ。ニートは暇そうで羨ましい。



「トイレ行くから離れて」
「…嫌だね」
「ちょ、ちょっと!?」



彼は私を抱き上げてトイレに向かう。突然の事に驚き、何も出来ない。トイレに着くと私をそっと降ろす。だが彼は出て行かずにただただ見下ろすだけ。



「な、何?」
「終わるまで見ててあげる」
「………明日から出入り禁止にするよ」
「……」



少ししょんぼりとしながらトイレから出て行った。直ぐに鍵を掛けてほっと胸を撫で下ろす。本当に何なんだ。変態なのか。とか思いつついそいそと部屋に戻るとソファの上で体育座りをして俯いている一松に目を向ける。そこまで落ち込まなくても。



「はぁ…おいで」
「……毎日来るから」
「わざわざ来てくれて有難うね」



弱々しい彼を見ると優しくしなくてはいけないという使命感を感じる。猫だって少し心配そうに此方を見ている。私の胸に凭れ掛かってきた彼を撫でればすりすりと頭を擦り付けてくる。



「ん……名無しさん…」
「どうしたの?」
「………風呂」
「……なにちゃっかり一緒に風呂入ろうとしてるのよ」



何て言いつつも頭を撫で続ける。この後一緒にお風呂に入ったかどうかはまた別のお話。
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