osomatsu

□私と六つ子の従兄弟達
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今日は何故か何時もより話し掛けてくれる。でもそんな事考えてる余裕も無くて、返事をするのでいっぱいいっぱいだ。



「あ、名無しさんちゃん、連絡先交換しない?」
「!?い、良いの?」
「もっちろーん、もし暇な時とかあったら連絡してよ」
「う、うん・・・!」



連絡先を交換出来る何て・・・。今迄交換したいとは思ってたけど自分からは言い出せずだったのでかなり嬉しい。



「えー!!暇な時は俺と野球しようよー!」
「や、野球・・・?」
「女の子何だから野球とかしねぇだろ」
「し、します!・・・したい、です」
「マジで!?やったー!」
「えぇ!?」



十四松君は勢い良く立ち上がると私の背後に来て後ろから抱き締めてくる。こんなスキンシップは初めてでもう何が何だか分からないで居ると、ふいに袖が引っ張られる。顔だけを其方に向けると引っ張って居たのは、膝の上に猫を乗せた一松君だった。



「え、えと、あの・・・」
「・・・」



何も言ってくれないので不機嫌なのかと思い焦り出すと、私の手首を掴んで膝の上の猫の上に導かれる。



「えっ?」
「・・・猫、嫌いなの?」
「ね、猫・・・好きです!」
「・・撫でれば」



私の手を掴んだまま猫を撫でる。ふわふわの毛の感触が心地良く、猫も気持ち良さそうに目を閉じる。



「名無しさんちゃんさぁ、毎年楽しくなさそうだから今年はいっぱい楽しく喋ろうって皆で言ってたんだよ」
「え、そ、そうなの・・・?」
「そうそう、毎年名無しさんちゃんそっちのけにしちゃってたもんね」
「だが許してくれ・・・俺達もシャイな年頃でな・・」
「今年こそは楽しく過ごして欲しいなって」
「・・・そういう事」
「・・・い、何時も緊張して話せなかったけど・・・皆と過ごせるのが、凄く楽しいよ」



皆は一瞬驚いた様な顔をしたけど、直ぐに嬉しそうな笑顔になった。



「今日は皆有難う、凄く楽しかった!」



楽しくて楽しくて帰りたくなかった。次に会えるのはきっと来年のお正月。一年も待つのが辛いとさえ思ってしまう。



「名無しさんちゃん!近い内に野球しに来て!!」
「え・・・」
「そーだよ、正月だけじゃつまんねぇしな」
「マイシスター・・・俺とまだまだ話し足りないだろう?」
「空いてる日とか連絡してよ、名無しさんちゃんとお出掛けしたいしね」
「・・・猫、触りに来なよ」
「僕達は何時でも待ってるからさ」

「皆・・・有難う、また皆に会いに来るね」



六つ子達の御蔭で、今年のお正月は今迄で一番楽しかったよ。
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