The world that was tied up

□一緒
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何だか最近、また良からぬことをしているのかグソンさんがよく出掛ける。
お蔭で今はマキシマさんと2人きりで何を話していいかよく分からない。

「名無しさんは、外に出たいかい?」

「えっ」

唐突なマキシマさんの質問の意味はよく分からなくて。でも自然と答えは出ていた。

「…出れるものなら出たいです」

しかしその願いを妨げるのは彼女のその醜い色相であった。

「…今度一緒に出掛けようか」

「え?」

「名無しさんのしたいことをしよう」

今まで容易に外を出歩く事が出来なかった彼女に、外を出歩く事を簡単に許可した彼が何を考えてるのか全くわからなかった。
幸三郎でさえ、心配して私を一切外には出さなかったのに。

「…私に捕まれと言っているんですか?」

遠回しにそう言われているのだと本気で思った。
だが彼は、そんな私の発言を笑って訂正した。

「いや、君を捕まえられると色々困る。そんなことはさせないよ」

私が居なくても困ることなんてないくせに。
と思ったが、口には出さなかった。
私を外で自由に出歩かせるという根拠を知りたかったからだ。

「でも、私みたいな色相の人間が外を自由に出歩くなんて出来るんですか?」

「あぁ、出来るよ。その辺は僕に任せておけばいい」

自信満々に言った彼に不思議に思うところはいくつかあったが、不安だと思うことは無かった。
色々考えていると、不意に抱き締められた。

「君はこんな世界のシステムに縛られる様な人間じゃないんだ」



彼が一体私の何を知っててそう言ったのかはわからなかったけど、その言葉が私はすごく嬉しかった。
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