osomatsu

□嫌いだった君
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「おっはよー‼︎」



朝から大きな声が教室に響く。声の主は同じクラスの松野十四松。友達といえる友達は居らず、皆から冷たい目で見られている。本人はそれに気付いているのかいないのか、色んな人に声を掛けては避けられている。
…正直こういう人は嫌いだ。何考えてるか分からないし、友達作りに必死なのがみっともないと思う。



「松野君煩いよね」
「気にしなかったらいーよ」
「それもそっか、関わりたくないもんね」



適当に合わせとけばともだ何か直ぐ出来るのに。先ず合わせるという考えすらないんだろーなとか思いながら自分の席に座って1人勉強を始める。こう見えて受験生だ。友達何て一応居るだけで構う暇は無い。



「ねーねー!何してんの⁉︎」
「………は?」
「あ、俺松野十四松!名無しさんちゃんだよね⁉︎」
「…そうだけど?」



よく名前覚えてるな、全然話した事無いのに。ていうか皆の視線が痛い。



「勉強⁉︎偉いね‼︎」



何て言って気安く頭を撫でて来る。本当急に何なんだ。あまり皆に見られたくないので松野の腕を引っ張って廊下に出る。



「急に話し掛けてきて何の用?」
「名無しさんちゃんと友達になりたいなーって‼︎」
「……え?」
「何かね、名無しさんちゃん、僕の兄さんに似てる!あと可愛い‼︎」



何、此奴。今迄全然話した事無かったのに急に…。ぽかーんとしているとチャイムが鳴り、「教室入ろう!」と手を引かれ一緒に教室に入る。けど、それによってまた皆の視線が集まってしまったので思わず手を振り払って席についてしまった。
それから少しの罪悪感が私の頭を悩ませ、何度か松野の表情を伺ったが何時もと何も変わらない。胸の中にもやもやを抱えながら放課後を迎えた。



「名無しさんちゃん!!」
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