osomatsu
□カラオケ
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今日は十四松とカラオケに来た。彼にとっては初めての場所らしく、家を出た時から何時も以上のテンションを見せている。
数分程歩くと目的の場所に辿り着き、受付を済ませる。今日はフリータイムの予定だ。
「うおおー!すっげー!!」
「もう、そんなに走り回ったら危ないよ?」
部屋に入るなり室内をぐるぐると走り回る十四松に自然と笑みが零れる。
「十四松、ジュース入れてくるけど何が良い?」
「ん〜、何でも!」
「分かった、大人しく待っててね」
二つのコップを持ち、部屋を出る。十四松には…オレンジジュースにしよう。二人分のジュースを持って部屋に戻るも、両手が塞がって居るので中々ドアを開けられない。それに気付いた十四が駆け寄ってそっとドアを開けてくれた。
「おかえり!オレンジジュース!?」
「そうだよ、十四松好きかなと思って……」
「うん!大好き名無しさんちゃん!!」
「うわ!?」
さっき迄はオレンジジュースを嬉しそうに見詰めて居た十四松も、私がコップをテーブルに置けば直ぐに勢い良く抱き付いてくる。多少吃驚はするが、これが十四松の可愛いところだ。
「………じゅ、十四松、何か歌いなよ」
「あれ、顔赤い!?」
「う、うるさい!」
私の様子を嬉しそうに見た後、ジュースを飲みながら曲を入れ始めた。一体どんな風に歌うのだろうと内心ドキドキしながら画面を見詰めて居たが、案外普通の歌声だった。というか寧ろかっこいいとすら思った。
「はい!次名無しさんちゃんの番!」
「あ、有難う」
差し出されたマイクを受け取り、自分も歌い始める。向かいのソファに座って居た十四松は画面と私の顔を交互に見てきて正直歌いづらい。歌い終わると腕を激しく動かして拍手してきた。
「すっげー!!名無しさんちゃんの声すっげー可愛い!!」
「そ、それは無いから!十四松はかっこいい声だったよ…?」
「マジで!?名無しさんちゃんに言って貰えんの嬉しい!」