osomatsu

□シャボン玉
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「なぁなぁ、俺すっげー暇なんだけど」



私は今日、彼氏であるおそ松の家に遊びに来ていた。勿論、二人きりではない。というか二人きりだと何をされるか分かったモンじゃない。彼の弟達とちゃぶ台を囲んでお話しするだけでも実は結構楽しかった。が、ずっと会話に入ってこなかった長男がやっと口を開いたかと思えばこれである。



「おそ松もお話しようよ、楽しいよ、ね?」



そう言って私が首を傾げるとカラ松が頷く。



「でもさでもさぁ、俺はデート出来ると思ってたのにさぁ、此奴等ばっかと喋ってさぁ・・・」




急に子供の様に駄々をこね始める。こうなるとかなり面倒臭い。



「ちょっと、みっともないよ・・・」
「あー名無しさんと二人っきりがいいなぁー」



わざと大きな声で言いながらチラチラとこっちを見てくる。他の皆は放っておいても問題ないというが、何だか私の所為で皆に迷惑を掛けている様な気がした。まぁ何より折角来たのにずっと彼氏を放っておいてその弟達と喋っていた事に少なからず罪悪感を感じたのもあった。
私が立ち上がって子供の様にごろごろしている彼に近寄ると、それが嬉しかったのか満足気な瞳で此方をじっと見詰めてくる。



「・・・散歩でもする?」
「待ってました」



私の言葉を聞くや否やバッと立ち上がり力強く抱き締められる。



「うわー、見せ付けられてる感凄いんだけど」
「ラブラブ!!」
「ちょ、恥ずかしいから!」



恥ずかしさのあまり慌てて離れようとするが、腰に手を回され結局距離は近いままだった。



「ったく、お前等の所為で名無しさんが照れてるだろ」
「いやこんな所で見せ付けるからだよ」



出来るだけ彼等に火照った顔を見られない様にしながら玄関へと向かう。



「そんじゃ行ってくるわ」
「お、お邪魔しました・・・!」



外へ出ると冷たい風が吹いていたが、火照った頬には心地よく感じる。しかしおそ松の手はまだしっかりと私の腰を抑えて居たので心臓のドキドキは収まらない。



「なーに赤くなってんだよ」
「あ、赤くなってないし・・!」
「いやいや、そんな赤くて誤魔化せると思ってんの?」



顔を逸らしてももう片方の手で顎を掴まれて見られてしまう。それがまた恥ずかしい。



「あ、目瞑って」
「え?」
「いーからいーから」



こんな状況で目を瞑るって事はまさか・・・キス!?
何て考えて一人で焦っていると早く、と急かされ大人しく目を瞑る。しかし一向にキスをされる気配は無い。緊張して目をぎゅっと瞑っていたが、静かに彼の息遣いが静かに聞こえるだけだった。



「・・・?」
「もう開けて良いぞ」
「あ、うん・・・って、え!?」



目を開けると其処には大量のシャボン玉。大きいものから小さいものまでふわふわと浮かんでいてとても綺麗だった。



「シャボン玉何て久しぶりに見たなぁ・・・」
「たまたま家にあったから持って来たんだ、綺麗だろ?」
「うん!おそ松のくせにロマンチックな事するんだね?」
「俺だってこんぐらい普通にするからな!?」



くすくす笑ってやると必死に反抗してきて、余計に笑いがこみ上げる。まだ浮いているシャボン玉に見とれていると手を繋いできた。そのまま知らないフリをしていれば指を絡められる。こうして二人で過ごす時間が凄く幸せだなぁと感じる。
暫くシャボン玉を見ていると段々外も暗くなり寒くなって来たので家に向かっていた。



「つーかさ、お前目瞑ってる時、他の事期待してた?」
「は!?き、期待何かしてないし!!」



憎たらしい顔で聞いてくるおそ松に動揺してしまう。きっとまた顔が赤くなっているだろう。何て考えていると繋いでいた手をグイッと引っ張られ触れるだけのキスをされた。



「んっ・・お、おそま・・・」
「好き、めちゃくちゃ好き」
「!・・・わ、私も・・好き」
「知ってるっての」



そう言うおそ松も珍しく顔が赤くて。愛しくて。離れたくないなぁ何て思っていると彼も同じ事を思っていたみたい。



「今日、泊まってもいいか?」
「・・・勿論」



この後二人で幸せな時間を過ごしました。

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