超人兵士
□超人兵士と私4
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べティがS.H.I.E.L.D.に就いてから約三ヶ月が過ぎた。
どうやら私は身体能力を生かした体術が向いているらしい。
型もそれらしくなってくると、
教官もノってきてナイフとか持ってみたらどうだと、手持ちのバタフライナイフを私に渡してきた。
それがまた案外しっくりと来て、これからの指導もガラリと変わった。
今日はメッセンジャーの仕事に徹底することになっている。
早朝から自主トレを終えてそれぞれの課に手紙や資料を届ける。
今日はいつものカートが無くて、両脇にがっしり挟んで運んでいる。
早歩き(他の隊員には走ってるように見える)をしていると、
「おわっ!」
少し凸になっている段差に躓いて膝が折れる。
自分から少し離れた所にには大きな人影が見えた。
「っと、あぶなかった。」
べティは段差で派手に転ぶのを回避して、姿勢を立て直した。
資料が落ちていないか確認して顔をあげるとそこにはキャプテンがいた。
「あれ、キャプテン。どうかしましたか?」
よく見るとキャプテンの手が中空で行き場を失ったかのように止まっている。
「あ…ああ、いやなんでもないんだ!」
手を即座に引っ込めてはははと笑ってどこか誤魔化しているようにみえた。
「そうですか。私まだ仕事が山程あるのですみません、キャプテン。」
べティは資料をよいしょと抱え直してキャプテンの前からすたすたと去っていった。
「じ、じゃあまた、べティ。」
資料はあと幾つかと少くなった辺りで、他の課へと声認証で動くハイテクなエレベーターに乗った。
移動中、先程のキャプテンの様子を思い出していた。
…なんであんな微妙な所に手があったんだろう?
なんだかどもっていたようだし…
私が躓く前にはキャプテンの大きな影は無かったような?
…躓く?
…もしかして、キャプテンは私を転ばないように支えてくれようとした?