書物

□ねぇ、
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ボカロのお/じゃ/ま/虫パロです






小学校卒業するくらいに、僕はもう山口が好きだった。

「ねえ、僕のことどう思う?」

「かっこいい!勉強もできるし、バレーも上手いし!」

間髪を入れない山口の返答に、幼い僕は嬉しくて顔に熱が集まる。
けれど僕が聞きたいのはその言葉じゃない。

ねえ、好きって言って。
他に何もいらないから。








って思ってたのは遥か昔。まだまだ純粋で、邪なことなど考えていなかった子供の頃の話だ。

中学に入ってから、僕の行動はエスカレートした。
山口の言葉一語一句逃さないために、ポケットには録音機を仕込んでいる。
僕のポケットじゃなく山口のポケットね。家やその他数箇所にも設置済みなのは誰にも言えない秘密。

だって山口の声が好きだから。漏らすことなく聞きたいと思うでしょ。

あと山口の顔も好き。
笑った顔も照れた顔も、泣いた顔もそそられる。全部見たい。残しておきたい。
だから余すことなく、山口を撮ろう。
もちろん許可はとったよ?何千枚とある写真の中、2桁にも満たない枚数だけどね。

このまま幼馴染としてでもいい。顔にたくさんのシワが刻まれるまで、死ぬまで好きでいるから。ずっと山口のそばにいさせて。
山口にとっていなくてはならない存在に僕はなりたい。

ねえ、好きって言って。
他に何もいらない。








なんて山口が近くにいればいい、側にいれればいいなんて思ってたのは今は昔。
高校生になった僕の頭の中は、性欲で満たされていた。

特に尻が僕の目を引く。
程よい柔らかさで、僕は大好きなんだ。

「なんでツッキー、俺の尻触ってるの?」

山口は夏になると寝巻きはとても短い短パンになる。陸上選手かと思うくらい短い。
僕はその短パンの下から手を入れる。

「僕を放って日向と話してたから。山口充電」

「たった五分くらいじゃない」

「たった五分で人は死ねるんだよ」

「話し飛びすぎ……」

誰もいない僕の家のリビング。テレビの前にあるソファに僕げ座り、その上に向き合うように山口は座っている。
僕の返答に呆れた山口は、僕の肩に顎を乗せてため息を吐く。

「我慢するって言ったじゃん。俺が高校でるまでって」

「…………うるさい、山口」

尻から手を離し、山口の背中に腕を回す。すると山口も僕の頭を抱くよう手を回してきた。

「大きい子供みたい」

「じゃあ僕から目を離さないでよ」

子供は目を離すと何するかわからないよ。善も悪もない。自分が正義、自分が正しいと思うことをする。

「それに、子供なりに我慢してるでしょ」

監禁もしなかった、山口を襲うこともしてない。今のところは。褒めて欲しいくらいだというのに。

「開き直らないでよ」

「山口がずっと一緒にいてくれるなら、子供でもなんでもいい」

ねえ、好きって言って。
他には何もいらないなんてもう言えない。言葉よりも何よりも、山口が欲しいから。

「……俺じゃなくてもよかったくせに……」

「山口?今なんか言った?」

「なんでもない」

山口は僕の頭を強く抱きしめてくる。早く高校卒業して、山口を嫁に貰おう。


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