書物

□謹賀新年2015
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ご都合主義
捏造
地雷埋まってるかも etc.
なんでもOKな方のみお進みください↓







ツッキーと二人で過ごす最後の正月。まだツッキーは帰ってこない。
私はリビングのソファーに座り、携帯へ送られてきた新年の挨拶に返信する。
もう随分と会っていないチームメイトからのメールは、高校のときと何一つ変わりのないものだった。

変わったことを上げるなら、まさかの清子さんと田中さんが結婚したこと。谷地さんと日向が付き合い始めたこと。それと……それと、

「ただいま」

「あ、おかえりなさい。遅かったね」

「うん」

私はソファーから腰を持ち上げ、ツッキーから背広を受け取る。

「大晦日も遅くまで仕事だったし……お疲れ様」

「このくらい平気だよ」

それより、とツッキーはソファーの背もたれに掛かっていたブランケットを手に取った。そしてそれを私の肩にかける。

「むしろお前の方が大変なんだからさ。もっと温かい格好してよね」

「大丈夫だよ。ストーブもコタツもあるんだから」

むしろ暑いよ。と言えばツッキーが「いいから」と私をコタツの方へ誘導する。

「あの、ご飯の用意するから……」

「温めるだけでしょ?それくらいできるよ、座ってて」

有無を言わさぬ言葉に従って、大人しくコタツの中へ。ツッキーは過保護過ぎる。別に激しい運動しなければ問題ないのに。

「明日も遅い?」

温めた料理を食べ始めるツッキーに聞く。

「うん。ここ一週間は遅くなる」

「そっかぁ……」

前よりも一緒にいられらないのが寂しい。でもそんなことツッキーに言えるわけないよ。
私はコタツの中で組んでいた手に力を込めた。

「その代わり、来週から8日間休みとった」

「え⁉︎そんなに⁉︎なんで!」

驚きすぎて声が大きくなる。

「うるさい」

「ご、ごめん、ツッキー」

「ツッキーって呼ぶなって何年も言ってるんだけど。忠も”月島”なんだから」

そう、私は2年前から性が月島になった。未だに実感は薄いけれど。

「本当に分からない?」

ツッキー改め、蛍がじっと見つめてくる。私は戸惑いながらも、思いあたったある一つの答えを言ってみた。

「予定日?」



私のお腹の中にいる子供の……



「そう。立ち合いたいんだよね」

「で、でも!予定日は予定で、確実じゃないし、早まったり遅かったりするんだよ?」

「分かってるよ。それでも休む価値はある」

蛍は私のお腹を触る。

「早く生まれたら、山口の世話を僕ができる。遅かったら山口と二人でゆっくり過ごせる」

優しく笑う蛍を見て、泣きそうになる。私は涙を堪えながら、お腹を撫でる蛍の手に自分の手を重ねた。

「ありがとう。私幸せ」

子供が産まれたら二人で過ごすことなんてほとんど無くなる。でもそれは幸せへの一歩。

「今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ。でも、最初から立ち合いたいのは譲れないから、なるべく休みの8日以内に産んでね」

「ま、任せて、ツッキー……?」

無理難題だし、私の意思じゃどうしようもできないよ。でも、私は頷くしかなかった。





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