書物

□ 変態という名の
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あの日から少女とはよく会うようになった。
出会ってから二ヶ月で分かったことは名前が山口忠であること、家がほぼ向側と近く親同士が知り合いだということ、忠がとても明るい子であったということ。

「ツッキー!お帰りなさい」

いつの間にか僕のことをツッキーと呼ぶようになった忠が、駆け足で出迎えてくれた。それが可愛くて思わず微笑んでしまう。

「ただいま」

先月から毎週金曜日には忠が泊りに来るようになった。
言っておくけど僕が強要したわけじゃないからね。忠の両親が金曜の帰りが遅いから、僕の母さんが忠の面倒を申し出たのが最初。
忠の親も最初は「迷惑だから」と渋っていたものの、最終的に忠が心配で預けることにしたようだ。

「毎回外で待ってなくてもいいのに」

「だって一番最初に”おかえり”って言いたいんだもん」

僕の足に抱きつく忠が可愛い。ありえないくらい可愛い。
僕は屈んで山口の両脇に手を入れ抱き上げる。「きゃーっ」とふざけて叫び声を出す忠に「今日のご飯は?」と聞けば、

「今日はね、カレーだよ!」

嬉しそうにそう言った。









「忠ちゃんがいる日のご飯はいつも賑やかで楽しいわ」

そう言ったのは母さんだ。楽しいに関しては全面的に同意したい。

「忠ちゃん、お風呂入ろうか」

「はーい」

ご飯を食べ終え、僕の横でテレビを見ていた忠がソファから降りた。いつもならそのまま母さんについて行くのだが……

「どうしたの」

そこから動かない忠。
しかしすぐに、こちらを振り返り、

「私、ツッキーとお風呂入りたい」

爆弾を落とした。

「忠ちゃん蛍と入りたいの?」

「うん!」

「そう。じゃあ、おばさん先に入るわね」

さっさと風呂に向かう母さんを、止めようと開いた口は言葉を発せなかった。止めようとした理性を、またとないチャンスを得た本能が押さえ込んでしまったのだ。

忠は小学4年で、まだ未発達とは言っても女の子。男と風呂はいけないのではと思うのだが……欲には勝てない。

「ツッキーとお風呂。嬉しい!」

僕に邪な感情を向けられているとは露知らず、忠は僕の膝の上に座ってきて笑う。

やっぱり忠は綺麗だ。純粋で疑うことを知らなくて、計算も駆け引きもない真っ直ぐな感情。この子をこのまま閉じ込めてしまいたい。






「好きだよ、忠」

「私もツッキーが大好き!」






汚いものを知らない忠のままで……






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