書物
□月島蛍誕生祭2014
1ページ/1ページ
※注意※
病んでる感弱めな気がします…
ごめんなさいしか言えない…
なんでもOKな方はどうぞ!
ツッキーの誕生日に買ったのは、好きなショートケーキ。その箱を片手に、俺はツッキーの家へと急ぎ足で向かう。
そして息を少し乱しながらツッキーの家の前に着けば、ちょうど外出するツッキーのお母さんと出くわした。
「おばさん、こんにちは!」
「あら、忠くんいらっしゃい。蛍のお祝いにきてくれたの?」
「はい‼︎」
「毎年ありがとう。蛍も喜ぶわ」
笑ったおばさんの顔は、すごく綺麗で見とれてしまう。けれど中に入るよう促され、俺は頭を下げて中に入って行った。
何度も来ているツッキーの部屋だけれど、今日はなんだか綺麗な感じがする。普段が汚いとか散らかってるとかではなく、何と言えばいいのか……こう、隅々まで目が行き届いているというか……
特別な何かがある感じっていうのかな?布団カバーとか新しくなってるし。
「何やってんの?」
ベットを見つめていれば、ツッキーがお皿とフォークを持ってきてくれた。
「何でもない。お皿ありがとう!」
ツッキーからお皿を受け取り、ケーキをそれに乗せ始める。その光景を見つめているツッキー。
数年前から変わらない、この恒例行事とも言えるものが俺は嬉しかった。ツッキーの友達でいることを許されているように思えるから。
「ねえ、山口」
「どうしたのツッキー?」
食べ終えた皿を片付けたあと6時くらいを指す時計を見て、そろそろお暇しようかと考えていると、ツッキーが俺の横に座ってきた。なんだか距離も近いし、俺の右手をツッキーの左手が握りしめてくる。
突然のことで手を引こうとしてら、それよりも強い力で止められた。
「欲しいものがあるんだよね」
「め、珍しいね、ツッキーが欲しいものなんて。俺があげられるものなら用意するよ!あんまり高いとダメだけど」
「大丈夫。お金はかからないし、山口がいればすぐだから」
カシャン……と小さな金属音と、手首に冷たい感触。目線を下げれば銀の、手錠。
「え、ツッキー?何コレ」
「最近さ、日向とよく話すよね。影山とも距離近くなってるし、西谷先輩とも楽しそうだし」
ホント最悪だよ。
ツッキーが低い冷たい声が部屋に響いた。
「嶋田とかいうおっさんに懐くとかさ、わざと僕をイラつかせてるのかと思ったよ」
「ツッキー?何言って……」
「お前は僕のでしょ?なんで他のとこに余所見するの」
どうしちゃったのツッキー。俺の知ってるツッキーと違う。こんな怖いツッキー知らない。
手錠がツッキーの左手に繋がれる。
「本当はずっと閉じ込めていたいけど、そしたら山口泣くでしょ?だから高校卒業までは大目に見てあげる」
でもね。とツッキーは続ける。
「誕生日には山口の時間を全部貰うから」
「へ?」
「丁度明日は練習休みだし、明日の時間も頂戴ね」
ツッキーが俺を抱きしめる。そして離れたかと思うと、口に柔らかく暖かいものが触れた。
俺の思考はその時点で振り切れ、
「高校卒業したら一緒に住むんだからね」
ツッキーの話は何一つ耳に入っていなかった。
#