書物
□モップでも戦えます
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※注意※
おそらく中二病!
中二病!
大事なので三回言います中二病!
書きたいとこだけ書いたので、話分からなかったらすみません…
なんでもOKな方はどうぞ↓
”超能力”とはーー
科学では合理的に証明されない自然的な力。他の動植物と比べ著しく優れた特異な能力のことである。それを持つものは超能力者と呼ばれた。現代では人間の約一割が超能力を持っているとされる。
これはその超能力者が存在する世界の話。
黒い炎に焼かれた木々。
焦げた匂いが鼻を掠める。
「こんなところで暴走するとか、ホント厄介なんだけど」
月島は不機嫌さを隠さずに顔をしかめた。そして刃渡り20センチほどの二本の短剣を両手に握る。
「仕事増やすなよな!バ影山!」
日向も愚痴をこぼしつつ、槍を構えた。
「お、俺もっ」
と、山口も二人に並ぼうとする。
「山口」
「な、何?ツッキー」
月島は満面の笑みで、
「邪魔だよ。モップは下がってな」
「ひ、酷いよツッキー!このモップだってちゃんとした武器っ、うわっ……!」
山口目掛け、銃声と共に炎が飛んでくる。それを日向は容易く槍で斬り落とした。
「あ、ありがとう。日向」
「どーいたしまして!山口はその子と離れた場所に行ってくれ」
「うぅ……はい……」
山口は言われた通り、渋々と傍に倒れていた少女を抱き上げて三人と距離を取った。
「能力者の暴走を止めるために来たのに……ミイラ取りがミイラになってどうすんのさ」
「何言ってんだ月島。影山はミイラになってねーぞ?」
「……ソーダネ」
「なんだよ、そのバカにした目は!」
「うるさいよ。ほら、王様が次仕掛けてくる」
影山が拳銃を二人に向けた。それを合図に月島と日向は地面を蹴る。
本格的に戦いが始まる中、離れた場所で山口は三人を見守る。
超能力者の”能力の暴走”それは本人の意思とは関係なく能力が発動すること。
暴走には主に精神的なものが関与する。かく言う山口に抱き締められている少女も暴走していた能力者だ。
彼女は治癒能力を持っており、周りからの絶対治るという期待や信頼などのプレッシャーに押し潰された結果の暴走だった。
しかし発作のように突然起こるものもある。
今の影山のように。
「はっ!」
日向が槍の柄の方で影山を突く。しかし、すんなりと影山避けられてしまう。
しかしコレも作戦のうち。もとが単細胞な影山はだいたい同じ手に引っかかる。
影山の避けた方向に突然月島が現れ、鞘がついたままの短剣を影山の首に叩き込んだ。
影山は糸の切れた人形のように前へ倒れる。
「暴走した影山って、炎の威力は強いけど、単細胞に拍車かかる分倒すの楽だよな」
楽……とは言っても通常と比べて、ということだ。
「まーね。暴走してまであんな戦い方されたら擦り傷で済ますなんて無理」
影山の攻撃は緻密に計算され、寸分狂わぬ場所へ弾丸が飛んでくる。中距離戦に持ち込まれたら、月島も日向もまず無事ではない。
日向は倒れた影山を仰向けにし、何度も顔を叩く。
「起きろー影山ー」
ペチペチ……
ペチペチペチ……
ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ
「んっ……や、めろ!このボゲェ!」
「おお、起きた」
日向の手を払いのけ起き上がる影山。はたかれていた右頬は真っ赤になっていた。
「あ……俺また……」
「そう、暴走。本当いい迷惑だよ」
月島の皮肉にいつもは怒り言葉を返す影山だが、周りや二人の様子を見れば迷惑をかけたことは容易に理解できた。
「悪かった……」
「まあまあ、今回は一般人の被害もなかったしさ」
山口が慌てて二人の間に入り込む。
「影山にも大した怪我はなかったみたいだし。良かった」
月島の嫌味も、影山の落ち込みも山口の言葉で止まってしまう。
「山口ー!俺も頑張ったんだぞ!」
「日向もすごかったよ。前よりも槍扱いが上手くなってたね」
山口に褒められた日向は嬉しそうに山口の元へ駆け寄った。
そして山口の腕の中で眠る少女を覗き見る。
「なかなか起きないな。この子」
「うん……早く基地に戻ろう」
「そうだな!」
とは言っても、基地までは相当な距離がある。しかも今は森の中。さっきの戦闘で行く道を見失ってしまった。
「ツッキー、疲れてるのは重々承知なんだけど……」
山口がおずおずと月島に言うと、短いため息を吐きながらも月島は山口に手を差し出す。
「僕、お腹空いたんだけど」
「奢らせて頂きます」
月島の手を山口は掴んだ。もう片方の手で月島は少女の手を握る。
それに続いて日向が月島の腕を掴み、影山は嫌そうに月島に触れた。
「ベタベタ触らないでくれる?」
「「なんだと⁉︎」」
「まあまあ……ツッキー、お願いします」
山口の言葉を合図に月島は目を閉じる。そして一瞬の表し難い不快感。
「っと……」
十数センチの高さから着地し、周りを見渡す。
月島の能力、テレポーテーション(空間移動)で飛ばされたのは基地の誰もいない大広間。
「さすがツッキー!」
賞賛の声をあげる山口に「うるさい、山口」といつもは返す月島だが、
「……今日はもう寝る」
さっさと大広間の出口へ向かう。
相当疲れたのだ。長距離の、しかも一気に4人も引き連れて能力を使ったのだから。
「俺は飯食う!」
「俺も」
日向と影山も小走りで月島の後ろを着いていった。
「山口はどうするの?」
「俺は……」
扉の前で振り向く月島から目を離し、少女を見る。
「この子を医務室に届けて、烏飼さんに報告してから休もうかな」
「報告なんて後でもよくね?」
「いや、今日はいろいろあったし……」
影山の暴走とか、と暗に込めて言うと、申し訳なさそうに影山が俯く。
「別に責めてるわけじゃっ」
「俺も行く」
「え?」
「報告」
「そ、そう?医務室行って準備できたら、迎えに行くよ。ご飯食べちゃって」
分かったと頷く影山と日向は扉から出て行く。しかし月島は扉を開けたまま立っていた。
「ツッキー?」
「僕も医務室に用があるから、一緒に行ってあげる」
「ありがと!」
山口は知っている。
月島が医務室に用がないのも、山口を気遣っていることも。
「明日は休暇だから、いつものお店に行こう。もちろん、山口の奢りね」
「任せろツッキー!」
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