とある科学の魔術詠唱
□勝負
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「それじゃ、いくわよ」
「いつでも」
短いやりとり
一瞬の沈黙の後、勝負が始められた
まず仕掛けたのは美琴
数ある美琴の攻撃パターンの内、最もスタンダードな電撃の槍が侑李に襲いかかる
侑李は迫り来る電撃を避けようとはせず、周囲に展開した砂の壁で防御する
防がれるのは承知の上だったらしく、動揺の欠片も感じさせない様子で第二波が放たれる
今度は防ぐのではなく、砂の砲弾をぶつけて相殺する
飛び散った砂によって一時的に視界が不明瞭になった
その中から何かが肉迫する気配を察知し、侑李は反射的に砂の防壁を展開する
「へぇ、やるわね。今のを防ぐんだ」
「そっちこそ、磁力で砂鉄を操るなんて、随分と器用なことが出来るようになったみたいだね。一撃で壁がここまで削られたのは初めてだよ」
互いが互いを賞賛する
その顔には喜色が浮かべられていた
「これはね、砂鉄がチェーンソーみたいに振動してるから、当たったらちょーっと痛いわよ?」
「いや、それ絶対痛いじゃ済まないだろ。それと笑顔でそんなモノを振り回すな」
にこやかにしているが、言葉が完全に表情と一致していない