とある科学の魔術詠唱

□親友
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一日の終了を告げるチャイムが鳴る

美琴は放課後になるなり教室の入り口に現れた後輩を見つけた

「お姉様〜、お迎えにあがりましたわ。さ、参りましょう」

そうだった
今日は二人と会う約束をしていたのだった
侑李のことで頭がいっぱいですっかり忘れていた

「あ、ごめん黒子。私ちょっと用事ができたから、先に行っててくれる?」

「そうなんですの?」

「うん。すぐに終わると思うから初春さんと佐天さんにも言っといて」

「それでしたら、ご用が済むまでお待ちしますわ」

「い・い・か・ら!さっさと行きなさい!二人を待たせるワケにもいかないでしょうが」

流石に校内で電撃を放つことはないが周囲が何事かと振り返るような声で怒鳴りつける

「う〜。分かりましたわ。それではお姉様、お先に失礼しますの」

ややしょんぼりした様子で出て行く黒子を見送る
大方、美琴と一緒に行けないことが残念なのだろう

黒子は、変態行動は多いが本当に美琴の迷惑になるようなことはしないし、礼儀もきちんとわきまえている
こういうところは素直にいい子だと思う

「この後なんかあったの?」

侑李が平坦な声で問い掛ける

「え?ああ、ちょっと友達と会う約束してたのよ」

「ふーん。ごめんね、なんか」

「良いわよ、別に。案内するだけならそんなに時間かからないだろうから、行けないワケじゃないし」

授業中になんとか状況に対応した美琴は、どうにかいつも通りに振る舞っていた




「とりあえず、これで一通り回ったかな?他に分からないことがあったらそのときに聞いて」

「ん、りょーかい」

美琴は携帯を取り出して時間を確認する
美琴の手の中にある携帯のデザインを見て侑李は微笑んだ

「なに笑ってんのよ」

「ん?ああ、相変わらず、ゲコ太好きなんだなと思ってさ」

いつもならここでアタフタと否定するところだが、小学校時代の親友相手に言い訳をしてもしょうがないかと、条件反射的に飛び出そうになった言葉を飲み込む

「悪い?」

変わりに、ふてくされたようにわざとらしく唇を尖らせながら、軽く睨み付ける

「別に?ただ、美琴らしいなと思っただけだよ?」

ニヤニヤしながら言われても、全く説得力がない
まあ、反論してもしょうがない
コイツに口で勝てないのはとうの昔に嫌という程思い知らされた


学び舎の園の外に出るまで二人は小学校時代の思い出話に花を咲かせていた

「あ、そういえば」

学び舎の園を出た辺りで急に立ち止まった美琴はゴソゴソと携帯を取り出す

「どうしたの?」

「なんか意外と時間かかっちゃったし、黒子に連絡しとかないとね」

カチカチと黒子宛てにメールを打ち出す
遅れたことへの謝罪とこれから向かうという旨のメールを送信しようとした美琴は、いいことを思い付いたと言わんばかりに目を輝かせる

「ねえ、侑李。今日この後予定ある?」
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