Beat
□ママが風邪をひいちゃいました
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みなさんこんにちわ。リーダーのウングァンです。
大変です。
僕たちのお母さん的存在のミニョクが、収録を終えるなり倒れてしまいました。
「ミニョク〜、大丈夫??」
「うーーん…」
「顔真っ赤だよ…さっきより熱上がっちゃったかなあ……」
「ゔーー……」
今日ミニョクは、アイドルが集まる体育会系の番組の収録のため、朝早くから1人で宿舎を出た。
収録は今日1日で終わったようだが、天気が良すぎたのと加えて気温が高くて倒れる人もいたらしい。
その中で、全力で走ったり汗をかいたり種目によっては水に落ちてずぶ濡れになったりと、体力的に大変だったようだ。
加えて、仕事がひと段落した安心から気が抜けて、今はこんな状態。
マネージャーの肩にもたれながら帰ってきたミニョクは、朝の元気な姿とは違いすぎて一瞬誰かと思ったくらいだ。
「おでこに貼ってるの、新しいのに替えようか?」
「…もう冷たくない……」
「だよね。新しいの持ってくるからちょっと待ってて。」
熱でぼーっとしてるミニョクは、真っ赤な頬でいつもよりちょっと舌足らずで可愛い。
いつもはキリッとしている眉毛も今は眉尻が下がってなんとなく情けない表情で、寂しさを嫌う小動物を連想させる。
ああ、ペットを溺愛する主人の気持ちって、こんな感じなんだろうか?
「はい、貼るよー」
冷たすぎるのか貼りかえた直後はくうっと息を詰めて我慢したけど、慣れると気持ちよさそうな表情になった。
「はあ〜……冷た…」
「…ッ?!」
目を閉じて天井を見るミニョク。
その時の伏せられた目元に、綺麗なラインの熱で汗ばんだ首筋に、なんだかドキッとしてしまった。
さっきまでは可愛いと思ってたのに……
それにミニョクは男なのだから、ときめくなんておかしいはずだ。
あ、もしかして看病してたら僕もうつっちゃったとか?ってんなことあるわけないか…
「薬飲む前に何か食べなきゃいけないけど、ミニョク、食べたいものある?」
「…あんま、食欲ない…」
「だろうけど、早く治らないよ?」
「んじゃあ…冷たいのがいい。…あ、アイス食べたい。」
熱あるしね。気持ちわかるけど。アイスってごはん代わりになるのか?
……まあいっか。
「アイスね、…って、うちの冷蔵庫にあるわけないしー……じゃあコンビニで買ってくるから」
待っててねってミニョクがかけているタオルケットの上からお腹をポンポンと叩くと、子どものように素直に笑う。
僕がリーダーとはいえ、同い年で僕から見てもしっかりしてるミニョクは場合によっては僕も頼りにしたりするから、あまり弟扱いはしない。
ミニョクも、自分でそつなくなんでもこなしちゃうタイプだし、1週間しか誕生日の違う僕に甘えてくることは滅多にない。
だから、今ミニョクは僕にとって、いや多分メンバーにとってもレアなのだ。ミニョクの言うお願いは全部叶えてあげたいくらい、可愛くて可愛くてしかたない。
だから、早くコンビニ行って早く戻ってこなきゃな。
病人がいるのもすっかり頭から抜けて、ウングァンはバタバタとみんなのいるリビングに走っていった。
「ちょっとコンビニ行ってくるから、ミニョクのこと頼んだよ!」
「「「ネーー!」」」