そるきゃ

□高校デビュー
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入学式を目前に控えた春。

私は新しい制服に袖を通し、真っ直ぐにとある場所へと向かう。

インターホンを鳴らせばママさんが快く家へと上げてくれて、私は一直線に部屋に入った。



「悟偉ー!おっはよ!」


「ごんべさんか、おはよう」



部屋では悟偉がベッドに腰掛けて音楽を聴いていた。

トランペットを吹くことをはじめとして音楽が大好きな彼は隙あらばいろいろなジャンルの音楽を聴いている。



「見て見て!明日から私も悟偉の後輩だよ!」



私は両腕を伸ばしてくるりと回る。

皺のない真新しい制服のスカートがふわりとひらめく。

幼馴染の悟偉より一つ年下の私は、悟偉と同じ学校に通うことを夢見て頑張ってきた。

だからこそ、こうして悟偉と同じ学校の制服を着られることは夢を手にした一つの証ともいえる。



「そういえばお前明日入学式だったか」



ところが、悟偉は少しも表情を変えはしなかった。

もともと表情をころころ変えるようなタイプではないが、いつも以上に表情に変化を感じられない。



「入学式は俺たち吹奏楽部が歓迎の演奏するから、楽しみにしておけよ」



まるで事務的に淡々と言葉を並べられ、悟偉はまた音楽を掛け始めてしまった。

















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