しょーと
□さよならの前に
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笠原 陽、いま人気急上昇のアイドルだ。
持ち前の無邪気な性格と、妥協を許さない仕事への熱意が業界では評判を呼んで、毎日忙しくさせてもらっている。
「市来さーん、準備できたよ!」
「うん、じゃあ行こうか」
俺はマネージャーの市来 斗真。
笠原が入所したときからずっと専属マネージャーとしてついてきた。
「あのね、今度ご飯行かない?」
「そうだねー、時間が出来たらかな」
そして、、、
俺はこの笠原に恋心を抱いている。
「もー、そう言って最近いってないよ…」
「陽が忙しいからでしょ、ほら次の現場つくよ!」
ほっぺを膨らましてなにか言いたそうにするかもですら、かわいいと感じる。
「じゃあ、行ってくるね!」
「俺も会議終わったらまた迎え来るな」
大きなボストンバッグをもって、笠原はビルに消えていった。