るろうに剣心 剣×薫
□流浪人現る
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「きゃあーーーー!!!」
深夜…
夜の静寂は女性の叫び声により引き裂かれる
各自室で眠っていた剣心と薫は条件反射のように起き上がる
剣心は勢いよく門を開け、神谷道場の外に出る
すぐに薫もそれに続き、2人は辺りを警戒しながら声の主を探した
しかし
「いないわね…」
「…………」
神谷道場の付近を隈なく見回ったが誰1人としていない
「…とりあえず戻るでござるよ」
これ以上 薫を連れたままでの詮索は危険だと判断した剣心は、薫の手を掴むと神谷道場へ戻った
「なんだったのかしら?」
薫は不安気な顔で剣心に聞く
「分からない。ただ、殺気も無ければ人の気配すらなかったから。事件とかではなく……幽霊を見た人の悲鳴…とか?」
「や、やめてよ!怖くて寝れなくなるじゃない!」
「なら、拙者と一緒に寝るでござるか?」
「あ、うん……って、え?!」
「ははは…冗談でござるよ」
剣心は薫を部屋まで送り自室へ戻る
そして刀を抱えて座り込むと外を警戒しながら朝を待った
ー翌日ー
薫は近所の人、特に女性が住む家を訪ねて昨日の深夜 何もなかったか聞いて歩いた
しかし近所の人は揃って首を横に振る
でも、確かに悲鳴は聞いたと皆言う
剣心も入念に道場付近を見回ったが、血痕の跡や人が襲われたような形跡は見つからず…
警察署にも足を運び事情を説明したが、それらしき情報は上がってきてないと言う
薫は出稽古へ行く前に赤べこへ寄り妙や燕にも話をした
その場には、赤べこで働いていた弥彦もいた
すると薫から話を聞いた妙の口から有力な情報が出たのである
「もしかしたら、その悲鳴の主…沙織さんかもしれへん」
「沙織?…誰だそいつ…」
「常連さんの娘さんよ。沙織さんも何度か来てはるから……弥彦くんも見てるはずやわ」
「全っ然!わかんねぇ」
「その沙織さんのお父さんが午前中に来たんやけど…
昨日の夜、薫ちゃんとこの近くで沙織さんが見たらしいわ……」
「何を見たの?!」
「……幽霊」
「………なんだそりゃ!阿呆らし」
「ゆっ…幽霊……。剣心の冗談が当たったわ」
薫は顔を青くしながら出稽古先である前川道場へ向かい
本日は赤べこの仕事が入ってるため出稽古に行かない弥彦は、仕事を終えると神谷道場に向かった
未だ色々と調べてるであろう剣心に「今の話を剣心に伝えて」と薫に頼まれたのだった