るろうに剣心 剣×薫

□告白再び
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ー京都ー

無事に巴の墓参りを終えた2人は葵屋の一室で身体を休めていた

恵から京都までの長旅を許可してもらえたが、まだ傷の残る剣心は「出来るだけ安静にして」と薫から釘を刺されている

「長旅…疲れたでござるか?」

「その言葉、そっくりそのままお返しするわ」

2人は顔を見合わせ笑う

「それにしても……いいのかしら?こんな立派な客室」
久しぶりに京都へ訪れた剣心と薫に、翁は葵屋の中で1番値の高い部屋を2人に案内した

「確かに、申し訳ないでござるな…」

すると突然、部屋の障子が開き翁が入ってきた
「何も気にする事はないぞ、お二人さん」

「翁殿…」

「事情は操から聞いておる。長旅で疲れてるだろう?存分にくつろいでいってくれ」

「ありがとうございます、翁さん」
「お言葉に甘えて、そうさせて頂くでござるよ」




剣心と薫は翁の好意に甘える事にした
夕食を済ませた後は、温泉で疲れを癒し贅沢な時間を過ごす


「こうして2人で過ごすのは…久々でござるな」

「確かに…そうね。弥彦がいないと随分と静かに感じるわ」

「淋しいでござるか?」

「まさか!…たまには私も静かに過ごしたいし」

「ははは…弥彦が聞いたら怒るでござるよ」


他愛のない会話で刻々と時間は過ぎていき…


「剣心、そろそろ寝ようか…」

「そうでござるな」


2人は布団の中へと潜り込む


「薫殿…今日はありがとう」

「え?」

「巴の墓参り…一緒に来てくれてありがとうでござる」

「私の方こそ、一緒に連れてきてくれてありがとう」

「それと…今回の件で薫殿には沢山 心配をかけてしまったでござるな。怖い思いもさせてしまった…。拙者のせいで迷惑ばかりかけ「迷惑なんかじゃないわ」


「…迷惑なんかじゃない。…私じゃ何も出来ないかもしれないけど、私はこの先ずっと剣心を支えていきたいの。それが私の願い。だから迷惑なんかじゃない」

「…薫殿」

「…駄目……かな?」


剣心は布団の中から手を出すと薫の方へ手を伸ばす
それに気づいた薫は、自分も布団から手を出し剣心の手にそっと触れた

剣心は薫の手をぎゅっと握りしめ
「ありがとう」と返した

「拙者も…薫殿とずっと一緒に居たいでござるよ」

「え?」

「ずっと拙者の側に居て欲しい」

思いもよらぬ剣心からの告白に薫は驚き、そしてジワジワと涙が溢れ出す
薫は涙ぐむ声で「うん」と剣心に返事をした



そんな薫を見つめていた剣心はポソリと心の声を呟いた
「この状況でこの会話……拷問でござるな…」

「…え?…なに?」

涙を拭っていた薫にはよく聞こえなかった

「何でもないでござるよ…。今になって腕の傷が憎らしいと思っただけでござる」

「痛むの?大丈夫?」

「いや、そうではなくて…」

「じゃあ、何?」

「…………何でもないでござる」

「何よ!気になるじゃない!」

「気にしなくていいでござるよ」

「気になるわよ!剣心、言って」

薫は繋いでいた手を離すと布団から起き上がり、剣心の布団の横に正座する
そして剣心の顔を覗き込んだ

「待った!でござる」

そんな薫の行動に剣心も慌てて身体を起こし、自分に近づく薫を手で制した


「それ以上、拙者に近づいたら駄目でござる」

「は?」

「……相変わらず鈍化でござるな」

「し、失礼ね!なんで私が鈍化なのよ?!」

「この状況でそれ以上近づいたら……
押し倒すでござるよ」

「…おっ!押し倒すっ……て」

「分かったら早く布団に戻って寝るでござる」

薫は剣心の言ってる事を理解すると、顔を真っ赤にして慌てて布団に戻る


「お、おやすみ!!」

「おやすみでござる」


薫は布団を頭まで被り、剣心はクスクス笑いながら布団に潜り込んだ

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