るろうに剣心 剣×薫
□隠し事は禁物
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出稽古帰り、薫は1人の男に足止めをされていた
夕刻で空はオレンジ色に染まり、太陽は沈みかけている
そのせいもあって、辺りには人がいない
2人がいる場所は大通りから外れた細い道
「あの…私に…何か?」
薫は正面にいる男の顔に見覚えはなかった
整った顔立ちだか、薫を見つめるその顔は陰険な表情だった
そして彼からは少し殺気を感じる
「いや、少し貴方とお話がしてみたくてね…」
「…話?…初対面のあなたと何を話すって言うの?」
薫は少しづつ後ずさりながら、手に持っている竹刀をギュッと握る
「…町で評判の剣術小町、どんな女か知りたくってね」
男は後ずさる薫に合わせてジリジリと前に出る
2人の距離は一定の間合いを保っていた
「…何が目的?…本当のこと言って!」
「目的?…ふっ。目的は抜刀斎だよ。昔、俺の仲間が何人も殺された。最近になってこの町に抜刀斎がいると聞いてな…少し調べたよ、お前の事もな…
なぜあいつだけ平和に暮らしてる?おかしいと思わないか?あれだけの人を殺してきて、新時代がきたら自分だけ幸せになってお終いか?笑わせるなっ!あいつがいる新時代は認めない」
「…………」
「ただ、…奴はめっぽう強い。平和ボケしたところで俺が敵わないのは百も承知だ…。
だから…お前が必要なんだよ。神谷薫っ!」
男は懐に隠していた短刀を取り出し、一気に薫との間合いを縮め斬り込んできた
薫は手に持っていた防具を投げ捨て竹刀で短刀を交わす
男はすぐに斬り込んでくるが竹刀でそれを受ける
「剣術小町ってのは名だけじゃなさそうだな……。だか、所詮…女!!!」
男は薫の足を蹴り飛ばした
足をとられた薫はその場に倒れこむ
「…くっ!」
男は倒れた薫に馬乗りになり
さらに持っていた短刀で薫の首に刃を突きつける
「安心しろ…。まだお前は殺さない。お前を餌に抜刀斎には自害させる!」
「そんな事…そんな事は私が許さない!剣心が今まで…どれだけ自分を犠牲にしてきたか…。彼は過去を背負って今も生きてる。今まで殺めてきた人達のためにも!何も知らないくせに、勝手な事言わないで!!」
薫は自分の首に突きつけてある短刀を握った
掌からはポタポタと血が流れ出す
その時ー
「おい。何をしている」
声の方に顔を向けると煙草をくわえた斉藤がいた
斉藤は男に刀を突きつける
「さ、斉藤…さん」
「神谷の娘か…お前も厄介事が好きだな」
「…くそっ!!」
「…逃げるなよ。……話は俺がゆっくり聞いてやる」
男はあっけなく斉藤に捕獲され、斉藤と一緒に来ていた警察官が男を連行していった
「…あの、ありがとうございます」
薫は起き上がり斉藤にお礼をする
「お前に礼を言われる筋合いはない。俺は自分の仕事をしただけだ」
「…でも、よく分かりましたね。こんな細い路地…。巡察…ですか?」
「通報だ。ここらで、男が女を襲ってると連絡が入った」
「あぁ…なるほど。…あの!この事は剣心には黙っててもらえますか?」
「…それは無理なんじゃないか?」
「え?」
斉藤は薫の後に視線を移す
薫が斉藤の視線を追って振り返ると剣心がこちらに向かってきている
「…剣心……」
「あいつを上手く誤魔化せるなら、今回の事はバレないと思うが……お前じゃ無理だな」
そう言って斉藤は警察署へと戻っていく