読み切りSS

□しののめの空
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間もなく朝日が昇る夜明け前。

ヨンジェが部屋の廊下に出ると、ヨングクの部屋から明かりが漏れていた。
ヨンジェはヨングクの部屋の扉をノックして静かに扉を開けた。

「おはようございます。作業は順調ですか?」
ヨングクはパソコンに向かって座っていて、ヨンジェが呼びかけると椅子ごと振り返った。
「ああ…おはよう。もうそんな時間か。ヨンジェも朝早いな」
「天気がいいので自転車に乗ってきます。朝のサイクリングは気持ちがいいですよ。朝日を浴びると新しいインスピレーションが浮かぶかもしれませんよ」
「ああ、それはそうかもしれないな」
「たまには頭を空っぽにして、頭を休めることも必要だと思いますよ」

そう言うとヨンジェの顔が近づいてきて、唇が重なった。

意味はない。だから、何も考えなくていい。といつもヨンジェは言う。

その真意は、と考える。単なるじゃれあいの延長線ということ?
それとも、自分の迷いとか葛藤とか、そんな感情をヨンジェが全部引き受ける。そんな風に思えた。
それはそれで、年下にそれを背負わせるのもどうなのかと自分でもわかってはいるが。

ただ結局のところ、今はこの融けるような瞬間に身を委ねてしまっていた。


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おしまい
 

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