読み切りSS

□僕の一番は君なのに、君の一番が僕じゃないのは嫌だ
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#デジェの告白は眉を下げて諦め半分に、「僕の一番は君なのに、君の一番が僕じゃないのは嫌だ」と言う。というものです。 http://shindanmaker.com/273045
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「何で俺たちここにいるんだろう」
ヨンジェはテーブルの上のショートケーキの上の苺をフォークでつつきながら呟く。
「え、それはお前が映画見たいっていうから」
デヒョンはそう言いながら、頬杖をついてアイスコーヒーをストローですする。

何となく街に出かけたくなって、映画でも見よう、と何となくデヒョンを誘ってみて。映画を見終わった後に何となくまだ帰りたくなくて、時間つぶしと軽い腹ごしらえのために喫茶店に入って。

夜の喫茶店は人がまばらで好きだ。人の視線をほとんど気にしなくてよいから。

ふと手を伸ばしてフォークの柄でデヒョンの鎖骨あたりを軽く突いてみる。Tシャツの襟ぐりから覗く肌に、ぎりぎり見えるあたりに残る紅い痕。
デヒョンはフォークの先の自分の肌を、見ながら、
「蚊に刺されたかな」
「…明日とか、着る服選べよな」
「何、随分な言い方。お前のせいなのに」
声に出して言われると、それはそれで恥ずかしい。
「…俺が悪かったよ」
ずっと見つめられると顔が紅潮するのが自分でもわかったから目を逸らした。

しばしの沈黙。コップの中の氷が溶けてからんと音が鳴る。
「…どうして俺はお前と一緒にいるんだろう」
「何、またさっきの話?」
デヒョンはふっとため息をついて、
「そんなに俺と一緒にいるのが嫌?」

デヒョンは眉を下げて諦め半分に、
「僕の一番は君なのに、君の一番が僕じゃないのは嫌だよ」

違う。デヒョンも俺の答えがわかっているはずなのに、人を試すような、気がつくと自分が優位に立っているような言い方。
そういうところも大嫌い。
ーーーーこれも、惚れた方の弱み、かな。


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おしまい。
 

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