読み切りSS

□ごめんなさい
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#グクヒムは最後に、消え入りそうな声で「ごめんなさい」と言って終わるお話を想像してください。 http://shindanmaker.com/283542
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カムバックを直前に控えて、今日も日付が変わるこの時間まで、各自練習室でそれぞれ歌やダンスの練習をしていた。
メンバー全員ハードな練習続きで疲れていたし、少し苛立ってもいた。

その時、ヒムチャンがばたんと部屋を飛び出していった。
程なくして廊下からばたばたと物がぶつかる音が聞こえてきた。
ヒムチャンは苛立ちがどうにも収まらないときは、廊下にあるダンボールやら何やらに当たり散らすことがわりとよくあって、そこまで気に留めなかった。

ものに当たるのもほどほどにしてくれよと思っていると、ひときわ大きく壁をどんと叩いた音が聞こえた。何となく嫌な感じがして部屋の外に出ると、八つ当たりされて無残に散乱したダンボールの向こう側にへたり込んで座っているヒムチャンが見えた。
「おい、大丈夫か、ヒムチャン」
ヒムチャンは力なく座り込んでいて、呼びかけても顔を伏せたままだった。
目線を合わせようとしゃがむと、ヒムチャンの右手の薬指と小指のあたりが内出血をしてひどく腫れ上がっていた。これはまずいことになったと思った。
「お前… 今すぐ病院行くぞ」

俺はすぐにマネージャーに連絡して、救急病院に行くことにした。
マネージャーが建物のすぐ前に車をつけてくれて、ヒムチャンはよろよろ立ち上がって歩き出して、後部座席に乗り込んだ。
「マネージャー、俺は他のメンバーに話をして、荷物を持って後からいきます」
とマネージャーに告げ、俺は一旦中に戻った。

俺の動きがにわかに慌ただしくなったから、他のメンバー達も非常事態だということを感じたようだった。中に戻ると残りのメンバー全員が揃っていた。

俺は要件だけ短く伝えた。
「ヨンジェ。新曲の、ヒムチャンのパートはお前に頼むことになるだろう。振り付けの変更は、明日先生と話して決めよう。今日のところは一旦みんな宿舎に帰ってくれ」
すると、ヨンジェは不満げな表情になって、
「ヨングクヒョン、練習が辛いのは俺たちも一緒です。ヒムチャンヒョンだけ、どうして」
ヨンジェはヒムチャンがこういう形で離脱することに納得いかないようだった。

「…たしかに自分勝手な行動で周りに迷惑をかけたことは、ヒムチャンが謝らなければいけないと思う。けれど、あいつが戻りたいと言ったら、その場所を残しておいてほしい」
「…わかりました。リーダーのあなたがそう言うんでしたら、信じます」
「ありがとう」
皆俺の言ったことでちょっと落ち着いてくれたようだった。
(さて、あとは当人だな…)
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