読み切りSS
□早く、奪って
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今日の#グクヒムのお題は、『言えるわけない』『早く、奪って』『好きにして』です。#jirettai
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ヨングクは花に例えるならば薔薇の花だ。少し離れたところから見ていると美しいが、手を伸ばして触れようとすると、棘が刺さって怪我をする。その棘は何のために？何から自分を守ろうとしている？
自分の中で何が引き金だったのか、今はよくわからなくなってしまったが、気がついたら自分はヨングクに依存しまくっていた。そんな危うい感情を誰に言えるわけもなく。
どんな形であれヨングクに必要とされたかった。突き放されることが何よりも怖くて。
俺はどうにかして薔薇の花に触れたくて近づいているうちに、気がついたら棘だらけの薔薇のつるに絡めとられてしまったようだ。
今夜は、雲だけ流れる月が消えた夜。外の光は入ってこない。
「ヒムチャン」
薄暗い部屋の中でヨングクが静かな声で呼ぶ。
俺はそれに応えるように近づくと、腕を強く引っ張られて抱き寄せられて、強引に唇を奪われる。ヨングクはついさっきまでお酒を飲んでいたのか、呼気に含まれるアルコールの匂いにクラクラした。
ヨングクはいつもそうやって衝動的に俺を求めてくる。
俺が体を投げ出してお前が満足するのなら、またいつものように、好きにして。俺はお前に必要とされていたいんだ。
早く、奪って。俺の思考を全部。
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おしまい