お話W

□V
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静かな音楽が流れる店内に、お客は窓際にいる常連客の彼女1人だけで、珍しくもあんていくの制服に身を包み表に立っていた四方はそんな彼女をチラリ、と見やると手元の珈琲カップへと視線を落とした。
彼女が店へと訪れてからすでに小1時間は経っており、最初に注文した珈琲以降全く彼女と言葉など交わすこともなく、ただひたすらに流れる静かな時間にもう一度ソッと窓際の席に腰掛ける女性を見やった四方は小さく息を吐き出すと意を決したように珈琲カップを手にそんな彼女の元へと向かった。


黙々と本へと視線を落としていた女性はコトリ、と静かに置かれた珈琲カップにふと、視線を上げるといつの間にかテーブルの側に立っていた四方を見上げると、パチリ、と一つ瞬きを零して置かれた珈琲カップと四方を交互に見やった。
「えっと…………これは………?」
「…………豆を、変えてみたんだが………。感想を聞かせて欲しい………」
そう言って自分を見下ろす四方にもう一度カップへと視線を落とした彼女はあぁ、なるほど。と時たま従業員同士で新しいブレンドを考案しているのを思い出すと手にしていた本をパタリ、と閉じた。
「えっと、ありがとうございます」
そう笑みを浮かべいただきます、と早速珈琲カップを手に取った女性に、1口飲んで美味しい…、とその顔を綻ばせた彼女を見やった四方はふと、その口元に小さく笑みを浮かべた。
「苦味も少なくて、すごく飲みやすいですね」
「………そうか」
私は好きですよ、と笑みを浮かべ四方へとそう感想を述べた女性は、そんな自分をジッと見つめる四方にパチリ、と目を瞬かせると少し困ったように眉を下げた。
他に何か言った方が良いのだろうか?と無言で自分を見つめる四方に小さく視線をさ迷わせた女性はあの…と声を漏らすとそんな四方へと視線を戻した。
「四方さん………?」
「…………急に、こんな事を言われるのは迷惑かもしれないが………」
「………?」
そう遠慮気味に四方へと声をかけた女性は、そんな自分を見やりポツリ、と言葉を零した四方を不思議そうに仰ぎみた。
「俺は………お前がす

「おっはよー!今日も1日ガンバロー!って、あ…………」」

そう声高々にスタッフルームから現れた古間に、ピタリ、と言葉を止めた四方はそんな自分と彼女を見やりしまった、という表情を浮かべる古間をゆっくりと振り返った。
「あ、あ〜!いや!ゴメンねうるさくて!」
続けて!と愛想笑いを浮かべた古間に、小さく溜息を吐き出し自分を見上げる彼女へと視線を戻した四方は合った視線にそんな彼女からスッ、と視線を逸らすとテーブルに置かれていたカラになった珈琲カップを手に取った。
「…………なんでもない。気にするな……」
「ぇ……?あ、はい………」
そう言って自分を見上げる彼女へと声をかけそのままカウンターへと戻った四方は苦笑いを浮かべる古間を一瞥するとシンクへとカップを起き、ヒッソリと溜息を吐き出したのだった。


続きはまた今度……
    確かに恋だった』様より【今から君に告白します】


『ゴメンね四方君、邪魔しちゃったね………』
『…………まったくだ』
そう小声でかけられた声に苦笑いを浮かべる古間を見て鼻息を漏らした四方は、また本に視線を落としてしまった彼女を見やると小さく笑みを浮かべ珈琲カップに視線を落としたのだった。

((ビックリした………。告白、されるのかと思っちゃった………))


あんていくの常連客に恋をした四方とか、実は四方に会いたいがためにあんていくに来ている彼女とか


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