お話W

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徐々に近づいてくる玉藻さんの気配に、グッときつく口を閉じれば柔らかい何かがソッと口に押し当てられた。
今度は意地でも侵入させてやるもんか!!ときつく口を閉じていればギュッと摘ままれる鼻。
ちょっとはムード考えよう?!!!
こんな罰ゲームみたいな状態でキスする恋人そうそう居ないよ?!!
「ン゛〜〜〜!!ン゛ッ……………………プハッ!!ングッ?!!たまっ、ふっ……ング、ん……ん……っ、はぁっ……はぁっ……」
意地でも我慢しようとしたのに、この人私が口開けるまで本当に鼻塞ぐから………死ぬかと思った。
口の中に侵入してきた彼の舌と、生ぬるい液体に、ソレを必死で飲み下せばカッと熱を持つ喉
やっと離れていった玉藻さんの唇に、新鮮な空気を肺いっぱいに取り込んでいれば今度はギュッと玉藻さんに抱き締められた。
ほ……ホントに何なんだよ?!!!もう私心臓爆発寸前なんだってば……!!!
離して!!!とくっつく玉藻さんを退かしたかったのに、思うように体が動かなくてただただペシン、と玉藻さんの背を叩くことしかできなかった。
何だコレ……めっちゃフワフワする……
「玉、藻……さっ……何、飲ませ……」
「あぁ、テキーラですよ」
美味しいでしょ?なんて…………………てきーらぁ?!!!
ちょ、何考えて……!!!空きっ腹にそんな度数の高いお酒なんて、飲ん………あぁ、だから異様にふわふわするのか………
ドッドッドッド、と耳の側に心臓があるんじゃないかと思うほどよく聞こえる自分の心音に、ギュッと抱きしめる力を強くした玉藻さんにフグ…と声が漏れた。
今度は何だ……?人の事絞め殺すつもりか?
「コレ以上は本当に窒息しそうですね」
コレぐらいならまだイケます?と少しだけ腕の力を緩めた玉藻さんに詰めていた息を吐きだせばそのままソファーに座りなおした玉藻さん。
ストン、と座ったソファーの上に、玉藻さんの足にホールドされた私は身動きなんて取れなくて、そのままジッと動かない玉藻さんにお腹減ってるのに、とか明日絶対二日酔いだ、とか思いながらもう勝手にしてくれよ、とその背に同じように腕を回して玉藻さんの背をソッと撫でればもう一度良いですか?なんて少し体を離した玉藻さんが私の顔を覗き込んできた。
「何に対してもう一度なのかは理解したくないんですけど、ホント急になんなんですか………」
「『テキーラのようなキス』がどのようなものか気になって」
そう言って結構いいモノですね、とそれはそれはにこやかに笑みを浮かべまたグラスの中のテキーラを口へと含んだ玉藻さんに、ふと昔懐かしのユー○ンの曲が頭の中で再生された。

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