お話W

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ピンポーン、と鳴らしたお隣さんのインターホンに、すぐに開いた扉を見てビックリする。
え?あの人私が来るのスタンバってたの……?とか思っていれば扉の向こうから顔を覗かせたのは玉藻さんが使役する管狐で、一声鳴いた彼、なのかな?は私に上がる様に促してくれた。
あぁ、いつ見ても可愛いな!とか思いつつお邪魔しまーす!と声をかければリビング辺りからいらっしゃい、と声が聞こえてきた。
ソレにスリッパを拝借してリビングへと続く廊下を管狐君と一緒に歩く。
いつもウチに来ることの多い玉藻さんが珍しくも『明日ウチに来ませんか?』なんてお誘いをしてくれたのだ!!まぁビックリ!!
しかもそのあとに続いた言葉は『私が夕飯をご馳走しましょう』だったもんだから思わず『え?玉藻さん熱でもあるんですか?』なんて彼の額に手を当ててしまった。
だって『アノ』玉藻さんが家に招待してくれて、いやたまに来ることはあるけどね!!あまつさえ夕飯ご馳走する、とか言うんだよ?!!あの暴君の玉藻さんが!!!あ、恋人に失礼ですね。
珍しいこともあるもんだなぁ、とか思いつつリビングへ顔を覗かせればふわり、と良い匂いが鼻を掠めた。
え?なになにあの人本当は料理できる人なの……?
なんか凄く食欲をそそるその匂いに、キッチンに立つ玉藻さんにこんばんはー、と声をかければフライパン片手に玉藻さんがコッチを振り返った。
「いらっしゃい、もうすぐ出来ますから座って待っていてください」
そう言って微笑を浮かべた玉藻さんにホント何してても様になるなぁ、なんて思いながらリビングのソファーに腰掛ければ管狐君が紅茶を運んで来てくれた。
わぁ、なんて主人に従順な子達なんだろう!!
そりゃぁ人様ん家のカギ開けられるくらいだから色んな事仕込んでるんだろうなぁ、なんて思いながら出された紅茶を飲みつつキッチンに立つ玉藻さんの背を見やる。
どうやらお肉料理を作っているようで鼻腔をくすぐるお肉の良い匂いにコレは期待して良さそうだな、と玉藻さんを見ていれば回していたフライパンにワインを注いでいた。
なんか凄い高い位置からワイン落としてるけど某モデル´sキッチンを思い出すよ。
そんな事を思いつつも次第に出来あがって行く料理に、凄いですねぇ、なんて声をかければ丁度調理が終わったんだろう玉藻さんがソレをお皿に盛りつけながら苦笑を洩らした。
「別に大したことではありませんよ」
ただ炒めてソースをかけただけです、と………何だろうこの敗北感。
いつもそれなりに色んなレパートリーでご飯作ってるつもりだけど、基本そこまで手の込んだ料理作らないからなぁ……。
あれか、男の人が料理できるってソレだけでモテ要素がグーンとアップするんだよな、確か。
ホント何でもそつなくこなしやがって、と思いつつテーブルの上に置かれたソテーを見る。
わぁ!本当に美味しそう!!

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