お話X

□W
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※ピッコロ 単体夢主

「ねぇ、ピッコロ」
「なんだ」
神殿によく来るようになった私は正面に腰掛けている無愛想なナメック星人に視線を飛ばした。
そう声をかければコッチをみたピッコロに、彼は私と視線が合うと顔を逸らしコップに口をつけた。
「あのね、愛してる」
そう言った言葉にすれば今しがた飲むはずだった水を勢いよく噴出した。
そして暫くむせたあと困惑した表情で私を見てきた。
「予想通りの反応ありがとう」
そんな彼を見てニッコリ笑って言えば、ピッコロはやっと落ち着いたように再び水を飲み始めた。
「なんだ……、いきなり」
「いきなりではないですけどね、ずっと思ってましたから」
そう言って私から視線を逸らすピッコロに微笑んで敬語で返せば再び困った顔。
「俺には、恋愛感情というものがないんだが」
彼は知っているだろう、と言うような目で私を見てきた。
「知っていますとも、理解したくないほどに。性別がないことも。恋愛感情というDNAがないことも。それでも伝えたかったんですよ。私は貴方を愛しているということを」
そう、表情には出さずに肩肘をついて、未だ困惑顔のピッコロを見た。
「俺は……、なんの返事も返せん」
分かりきった答えだった。それでも本人の口から聞くとやはり悲しくて。
目頭が熱くなるのをグッと堪えて微笑んだ。
「予想通りの返答をありがとう」
誤魔化すようにそう返してスクリと椅子から立ち上がりピッコロに背を向け歩き出す。
そんな私の背を黙って見ている彼に、クルリと振り返ってもう一度笑う。
「ピッコロ、愛してる。この世の誰よりも」


愛してる、愛してる……哀してる



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