お話X

□Y
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※ウタ夢 単体夢主

ザアザアと降りしきる雨に、一向に止みそうに無い雨を雨宿りしながらただぼんやりと眺めていればアレ?と聞こえてきた声。
ソレに鉛色の空から通りへと視線を向ければソコには4区でマスク屋をしているウタさんが立っていた。
「あ、ウタさんこんにちは」
「うん、こんにちは。どうしたの?こんなところで」
いつものお出かけスタイルでビニール傘をさすウタさんにそう声をかければ、そんな私を見たウタさんが不思議そうに首を傾げたことに小さく苦笑を洩らして空を指差した。
「天気予報見てなくて、買い物してたら降られちゃったんです」
「そうなんだ。買い物は終わったの?良ければ入ってく?」
もう暫くは止みそうにないから、とビニール傘に降り注ぐ雨を仰ぎ見て私へと視線を落としたウタさんのそのとても嬉しい申し出に、どうしようかな…、と二人入るには狭いであろうビニール傘を見てウタさんへと視線を落とす。
「じゃぁすぐソコのコンビにまでご一緒させてもらって良いですか?」
流石の細身のウタさんでもビニール傘を半分こは濡れてしまう、と見える距離にあるコンビニを指差しそう提案すればコンビニを見て私へと視線を戻したウタさんが小さく首を傾げたことに、私も同じようにどうしたんだろう?と首を傾げてしまった。
「んー、どうせなら君を家まで送りたかったんだけど。僕と相合傘はイヤ?」
「えっ?!ち、ちがっ!!そうじゃなくてですねっ、流石にビニール傘に二人は厳しいと思って……!!それにウタさん()4区でしょ?!わざわざ14区まで送ってくれなくても良いですよっ……!!」
そう言って八の字に眉を下げたウタさんに、まさかそんな事を言われるなんて思ってもいなくて慌てて首を振れば、そんな私を見たウタさんがニッとその口元に弧を描いた。
「そっか、なら良かった。僕もこれからイトリさんのバーに行こうと思ってたから、ついでに送って行ってあげる」
そう言ってハイ。とこちらに傾けられた傘に、笑みを浮かべるウタさんを見て入ろうかどうしようか悩んだけれど、私へと傘を差し出した分雨に打たれるウタさんの肩を見てこれ以上悩んでいてもウタさんに申し訳ない、とありがとうございます。とお礼を言ってその傘の中へとお邪魔した。

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