純愛讃歌

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「ピッコロさん、お父さんとの組み手は終わったんですか?」
「あの阿呆のおかげで組み手に集中できん」
ペチャクチャと喋りおって、とバッシャーン!!と大きな水しぶきをあげ滝壺に沈んだブラックサンダーにピッコロは溜息を吐きだすと下へと降りていく。
「ゲホッ!!ゴホッ……!!あにすんだよ、シショー!!」
「無駄なお喋りをしている暇があるのなら瞑想に集中しろ」
この馬鹿者が、と水面に顔を覗かせたブラックサンダーを見下ろしたピッコロに、ブラックサンダーは頭に出来たタンコブを押さえるとふい、とピッコロから顔を背けた。
「ちゃんとやってましたー!師匠こそ組み手とか言ってホントは怠けてたんじゃないですかー?」
「貴様と一緒にするな」
誰が緑マンだ、と不貞腐れるブラックサンダーを睨みつけたピッコロにビクリ、と肩を震わせたブラックサンダーはひどく驚いた顔でそんなピッコロを見上げた。
「生憎俺の耳は地獄耳でな。死にたくなければ口には気を付けることだな」
何で知っているんだ、と言いたげなブラックサンダーにそう言ったピッコロはハッ、とブラックサンダーを鼻で笑うと流れ落ちる水を手に掬った。
(とか何とか言って本当は陰から見てたんじゃないの……?)
ゴクリと喉を鳴らして水を飲むピッコロにすいませんでしたー。と声を漏らして水から出てきたブラックサンダーに、ピッコロは眉間に皺を寄せそんなブラックサンダーを見やった。
何か言いたげなピッコロに小首を傾げたブラックサンダーは濡れた道着を絞るとピッコロに向き直った。
「そういえば師匠っていっつも水しか飲んでないよね。そんなんだから顔色悪いんだよ」
孫家でも、修行時でも水しか口にしないピッコロにブラックサンダーは眉を顰めると顔色の悪いピッコロを見やる。
「もともとこういう顔色だ」
それに小さく舌打ちを零したピッコロは上から降りてきた悟飯を一瞥するとそう言ってブラックサンダーから顔を背けた。
どこか眉間に皺を寄せるピッコロにヘェ、と声を漏らしたブラックサンダーは隣でおかしそうに笑う悟飯を見やると再び小首を傾げた。
「ピッコロさんはナメック星人ですから。お水だけで生きていけれるんですよ」
「ナメ……ック………『星人』……?」
そう言ってね、ピッコロさん。と言った悟飯にブラックサンダーはえ?と声を漏らすと目の前の師匠をマジマジと見やった。
「え?セイジン……?星人って宇宙人……?」
え?と再び声を漏らしたブラックサンダーに悟飯はそうそう、と頷いて見せる。
酷く驚いたように自分を見つめるブラックサンダーに、ピッコロはフン、と鼻息をつくと上へと上昇していく。
「え……?じゃぁ、なに?ピッコロさんは地球外生命体……?」
遠ざかるピッコロの姿を見上げていたブラックサンダーはそう言うとピッコロを指差し悟飯を見やった。
それに頷いた悟飯はちなみにボクも宇宙人とのハーフです、とにこやかに衝撃告白をしたのだった。

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