お話U

□どうしよう好きみたい
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パタパタパタ、と何かと騒がしい院内で数人の看護婦さんを引き連れナースステーションを横切る外科の先生をなんとはなしに見ていれば、カルテに視線を落としていた玉藻先生がふと、コッチを見たもんだからビックリした。
ビックリしすぎて視線が逸らせないでいると微笑を浮かべた玉藻先生がそのままナースステーションを去っていった。
それに小さく息を吐きだせばドン!と背中に誰かがぶつかってきた。
思わず漏れたうわっ、と言う声に背中にのしかかってきた同僚を振り返れば見たわよぉ〜、なんて顔を覗きこまれた。
「ちょっとなに私達の玉藻先生と見つめあってんのよー!」
「許さないわよー!」
「違うから!たまたま目が合っただけ!!」
そう言ってコノコノー!と体重をかけてくる同僚達もおふざけ半分なんだろう笑っていて、そんな彼女達に混じってハハハ、と笑いながら私は仕事へと戻っていく。

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