彼と私の航海日誌

□6
2ページ/5ページ

「と言うか海王類?空島?」
モクモクと、これまた手作りなんだろう骨付き肉に齧りつきながら知らない単語が飛びだしてきたことにふと、そんなマルコさんを見やる。
あ、コレ中に卵が入ってる……!
どんだけ手ぇ凝った料理作ってんだろう………
「あぁ、俺らの世界にゃ海王類ってぇバカデケェ魚がいるんだよぃ。見た目はまぁ……、アレだけどねぃ」
美味しいよ、と言ってソテーをパクリと食べたマルコさん。
モグモグと口一杯にソテーを詰め込んだ彼はそれを飲み込むと今度は骨付き肉に手を伸ばした。
そういえば今では箸とか普通に使ってるけど向こうじゃ手づかみが主流らしいのだ。
豪快だな、と骨付き肉を一口で食べたマルコさんを見て、テーブルの上の真鯛のソテーに視線を落とす。
「大きいって、クジラぐらいですか?」
「こっちのクジラがどんぐれぇの大きさかはわからねぇが、ソイツの3、4倍ぐらいはあるだろぅよぃ」
普通に、と言ったマルコさんにハァ、と感嘆の声を漏らしてしまう。
確かこっちのクジラの最大ってシロナガスクジラだよね……?
それの3,4倍って……食べるより食べられる側じゃないですか……人間なんて。
「空島ってのはねぃ、上空10000メートルにある空に浮かぶ島だよぃ」
そこのカボチャスープが美味い、と言ったマルコさんに空?と思わず上を見上げてしまう。
モシャモシャとサラダを頬張るマルコさんはコクリと頷くと天井を指差した。
「なんで空に島が浮かんでんのかは知らねぇが、あるんだよぃ『空島』ってぇ島が」
あと海底10000メートルには『魚人島』という島もあるらしい
「魚人島……。え?マーメイド?」
「あぁ、いるねぃ」
思わずソレに居るんですか?と零せばコクリと頷いたマルコさん。
空に浮かぶ島に海の中にある島だなんて………なんだか想像もつかない世界にいるんだなぁ、この人は……。
空想上でしか見たことのないような世界に凄いなぁ、と声を漏らすとグランドラインには変わったものがたくさんある、と今までの航海の話を聞かせてくれた。
頭にバナナを生やしたワニや、カンフーが出来るジュゴン、人の言葉を喋れるトナカイとか、面白い動物が沢山出てくる
魚人に巨人、小人まで居るらしい
どこか楽しそうに旅の思い出を話してくれるマルコさんにウンウンと頷きながら頭の中でそれを想像してみる。
「危険な航海だけどねぃ、知らねぇ場所に行くってぇのはワクワクするよぃ……!」
そう子供のような笑みを浮かべ、頬袋いっぱいにご飯をかきこむマルコさんを見てなんだか可愛らしいと思ってしまった。
そんな彼に早く帰れると良いですね、と声をかければ、ご飯を飲み込んだマルコさんは困ったように笑うとそうだねぃ、と頷いた。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ