お話T

□柾木T
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 −−−パチパチパチ

「あ……?ナンだよ、今の……」
上から振ってきた拍手に千春君はどこか不機嫌そうに空を見上げた。
「あぁ、Web拍手?」
ほら、お客さんが評価してくれたんだよ。と笑って言った私に千春君は感心したように声を漏らすと煙草を取り出した。
「人ボコって称賛されんだな」
ココ、と言った千春君に慌てて首を振った。
「そんな物騒なことに対して誰も称賛しないからね?!」
「じゃぁナニすりゃ貰えんだ……?」
慌てて否定した私に千春君は煙草の煙を吐きだすと怪訝そうに私を見やった。
そんな彼に私は小さく首をひねるとう〜ん、と声を漏らす。
「管理人さんが頑張れば良いんじゃないかな?」
そう小さく答えた私に鼻で笑った千春君。
「無理ダロ。文章力皆無だぜ……?」
アイツ、と煙草を踏み消した千春君に苦い笑みを零した。
それはきっと皆思ってても敢て口にはしなかったんだよ。
苦笑する私に後は?と聞いてきた千春君。
結構拍手を送られることは嫌ではないみたいなんだ
千春君の言葉に再び頭を悩ませた私。

「アンタらがもっとイチャつけば良いんじゃねぇか?」

お前ら糖分低めだろ、と通り過ぎざまにそう零していった竜介君。
そう言って人ごみの中に消えて行った竜介君に私は千春君を見やった。
千春君もそんな竜介君の後ろ姿を見やるとヘェ、と含み笑いを零して私へと視線を戻した。
いかにも楽しそうに笑みを浮かべた千春君に数歩後ずさる。
「あの……、千春君……?」
掴まれた腕に千春君へと引き寄せられて思わず視線をそらす。
「んじゃぁ……こっからは有料ダゼ……?」
そう言ってクツリと笑った柾木君は私に目隠しをした。


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