お話V

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トリップ5日目。トリップって言うとなんかアレだけど、だってこれ本当に平面世界の地獄先生なんだもん……。
まぁ、ソレは置いといて、トリップして5日経ちました。
あった事と言えばカメに殺されかけたこととお隣の玉藻さんに殺されかけたことぐらいかな?
あれ?コッチ来てまだ5日だよ?なんでこんなに死に直面しなきゃいけないんだ……?
おっかしぃなぁ、とか思いつつ出来あがった朝食をテーブルへと並べる。
卵焼きに焼き魚、白いご飯とお味噌汁!うん、やっぱ日本人の朝はこうでなくちゃ!とか思いながら箸を手にとればピンポーン、という音が部屋に響いた。
ウン、何も聞こえない。なんで朝っぱらからチャイムが鳴る音の幻聴が聞こえるんだろう。
おかしいな、アハハ私まだ寝ぼけてるのかな、とか思いながらお味噌汁を一口飲めば再びチャイムの音が鳴り響いた。
………嫌、嫌だ……朝っぱらから心拍数上がるような人と会いたくないっ!!
神様!!ときっと隣人だろう来訪者にギュッと手を握りしめ祈ればカチャリ、と扉が開く音が聞こえた。
あのさ!!!コレれっきとした犯罪だよ?!不法侵入って言葉知ってます?!
「起きてるじゃないですか」
「お……、きて、ますね……」
おはようございます、とかけられた言葉に、平然とした表情で家へと上がってきた玉藻さんはテーブル前で固まる私を見下ろすとテーブルに並べられた朝食へと視線を落とした。
「和食ですか」
「え、えぇ……まぁ。朝は大抵和食派ですけど……」
まぁ良いでしょう。と言った彼は何故かそのままカーペットの上へと腰を下ろした。
あぁ、そのクッション結構気に入ってるんだからお尻に敷かないで!!いや、でもクッションも玉藻さんに潰されるなら本望か、……じゃなく!!
「あ、あの……?何しに、来たんですか……?」
「何って……ご飯を食べに来たんですけど?」
ほら、早く出してください、とペンペン、とテーブルを叩いた玉藻さんに催促の仕方可愛いな!!とか思いつつもえ…?と声を漏らしていた。
ご飯食べに来たって……え?何事ですか?!
いつの間にそう言う話になった!?私は一言も聞いてない!!ってか朝っぱらからイケメンと顔合わせてご飯とか無理ダロ!!?
「もしかして、ないなんて言いませんよね?」
そう言ってにこやかな笑みを浮かべた彼の背後には不穏なオーラが漂っていて、あ、コレ今すぐに用意しなきゃ私の命に関わるな、と思った私は即効ソファーから立ち上がるとキッチンへと駆けこんだ。

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