お話V

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トリップ4日目、ようやく私は童守商店街へとやってきた。
3日目は朝から玉藻さんの来訪でそれどころじゃなく、いや、玉藻さんのせいにしちゃいけないな。久方ぶりに食べるカステラの美味しさに感動してお出かけどころじゃなかったんだ。
今日も散策が終わったらカステラ食べよー♪とか思いつつ交番で貰った地図を頼りに街中を練り歩く。
目の前に見える109的な建物は美樹ちゃん達がケサランパサラン騒動でエレベーターが壊れたアレじゃなかろうか?
うわー、すごーい!と漫画通りの街並みに感動していれば突然地響きと共に地面に亀裂が走った。
「なになになにっ?!!」
あまりにも突然の事でその場にへたりこめばその場に爆発音が鳴り響き地面から巨大な何かが出現した。
コレって、アレですか……?早速妖怪と出くわしたパターンなんじゃ……。
ほら見ろやっぱ出掛けるとロクな事起こらないじゃないか!!フラグ立っちゃったよ!!
ひゅ〜、ガンッ!!ゴロゴロゴロ、と音を立てて目の前に落下してきたマンホールの蓋に、コレぶつかったら即KOじゃん!!!いや、そうじゃなく……マンホールの下からメリメリメリ…と分厚いコンクリートをを引き裂いて現れたソイツを見やり思わず声を漏らしていた。
「オーマイガッ!!」
何でよりによってカメなわけ?!!コレってアレでしょ?!白戸秀一君が昔誤って下水に流しちゃったカメ……!!
『うらみはらさでおきべきか……!!』
「ギャー!!ちょ、タンマタンマタンマ!!!」
地響きのような声が町全体に響き渡った瞬間空から雷が降ってきた。
どんな超常現象だよ?!!その前にえ?!これアニメ設定じゃないの?!!なんでこのカメ喋るの?!!しかも甲羅の上におぞましい顔浮かんでるんだけど?!!アニメと原作ごちゃ混ぜですか?!!
勘弁してよ!!と叫んで逃げ惑う人達に習い私も立ち上がるとその場を駆けだした。
一刻も早くココから脱出しなければ!!もしこれが本当にあの秀一君ヒロイン回(お姫様抱っこ回)なら数分もしないうちに玉藻さんがご登場なさる!!
それだけは勘弁願いたい!!もうホントここがあのぬ〜べ〜世界だったとして私は平和に暮らしたいの!!
慌てふためく街中に、逃げ惑う人に押されながらもなんとか少しでもそこから離れようとすれば後方からやってきたあんちゃんに物凄い勢いでど突かれた。
確かにみんなパニック状態になってるのは分かるよ?!!だけど『どけよッ!!』はないと思うんですよ、コレでも一応私女の子!!
「い〜〜〜〜っ?!!」
グキリ、と嫌な音を立てた足首に、盛大にすっ転んだ私は何すんだよ!!と人の事ど突いた兄ちゃんに抗議の声を上げようとして言葉を失った。

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