お話V

□7.大丈夫、ポッキーなら用意してあります
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仕事を終えて家に帰れば何故かついている電気。
まぁコレは多分変態妖狐、もとい恋人の玉藻さんが来ているんだろうなぁと思いつつ靴を脱ぎリビングへと向かう。
ヒョコリと覗いたリビングには玉藻さんの姿はなくて、どこいったんだろう?と首を傾げていればバスルームからシャワーの音が聞こえてきた。
あぁ、なんだお風呂か、とか思ったけどあの人不法侵入したあげく勝手に人様のお風呂借りるってどういう神経してんだ?!!
もう、いい。あの人の行動にいちいち突っ込んでたら身が持たない、とバッグを置いてふとテーブルを見やれば山と積まれたお菓子の箱。
珍しいな、甘いもの嫌いな玉藻さんがお菓子なんて、と山のように積まれる箱の一番上を手に取ればフランだった。
その下は極細ポッキーでその下はプリッツ。
ちょっと待ってこれ全部ポッキー?!!
何事?!!とか思っていればあぁ、お帰りなさい。なんてお風呂から出てきた玉藻さんがタオルを肩にかけながらリビングへとやってきた。
召使い宜しく玉藻さんの体に服を着せていく管狐君達に、ちょ、せめて服ぐらい着てから出てきてくださいっ!!!
あぁ、もうホント目に悪いな、とそんな玉藻さんから視線を外してただいま、と返しテーブルの上のポッキーの山を指差す。
「コレ、どうしたんですか?」
「買ってきたんですよ?」
そんなもの見れば分かります。
ってか、え?買ってきたの?どうしちゃったの玉藻さん?とうとう甘党に目覚めたの??
ごく当然のようにそう言った玉藻さんに珍しいですね…、と思わず声を漏らせばソファーに腰掛けた玉藻さんにチョイチョイ、と手招きされた。
ソレにちょっと警戒しつつ玉藻さんに近寄れば案の定ヒョイ、と持ち上げられて玉藻さんの膝の上。
しかも今日は向き合う形だから余計に恥ずかしい……
慣れろ自分、でなきゃこの先このお狐様とのお付き合いなんて到底無理だぞ、と自分に言い聞かせまだ濡れている玉藻さんの髪の毛をタオルで拭いていく。
「ちゃんと乾かさないと風邪引きますよー」
「妖怪は風邪引かないんですよ」
そう言ってクスクスと笑って胸元に顔を埋めてきた玉藻さんに冷たいんですけど、と批難の声を漏らせば柔らかいですね、と見当違いな言葉が返ってくる。クソ、ホントに変態染みてきてるぞこの人。
ソレに女ですからねー、と返せばいい香りだ。とその胸一杯に匂いを吸い込んだ玉藻さんに堪らず玉藻さんを引っぺがしてその顔にタオルを押しつけた。
「そのタオルの匂いでも嗅いでなさいっ!!!」
「良いじゃないですか、少しぐらい」
貴方の場合少しじゃないんですよ!!まったくホント恥ずかしげもなくそういう事をするんだから、とタオルを退かし楽しげに笑う玉藻さんから視線を逸らす。
「それで?何でポッキーばっかりこんな大量に買ってきたんですか?」
「あぁ、だって今日は世間一般では『ポッキーの日』なんでしょう?」
そう言ってカレンダーを指差した玉藻さんに、11月11日の今日の日付を見やり某海賊船の剣豪の誕生日でもあるよ、と言いかけて言葉を呑み込む。
なんかそう言った玉藻さんが凄く楽しそうで、次に続く言葉がなんとなぁく予想できた私はジリリ、と玉藻さんの上から逃げようと腰を引いた。
が、ガシリ!!と背中に回った玉藻さんの手によってソレはあえなく失敗に終わった。
「なのでポッキーゲーム、と言うものをしようと思いまして」
ホント人間って素敵なゲームを思いつきますよね。なんて、めっちゃ良い笑顔で仰って下さった

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