そして君に恋をする

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図書館までの道のりを他愛無いことを話しながら歩く。
どうやらチカちゃんは本土の人間に憧れているらしい
なんでも標準語を完璧に話せるようになるのが夢なのだそうだ
私はうちなーぐちも好きなんだけどな、と答えると訛りが…と言葉を濁してしまった。
1年は今沖縄の歴史について学んでいるようでその資料を探すために図書館へ行くらしい。
私も少し沖縄の歴史について学ばなきゃなぁなんて思っていると図書館へつく。
私は持っていた本を返却ボックスへ返すとチカちゃんと一緒に本を探し始める。
本当はそこまでしてくれなくても、と言われたのだけどどうせ暇なのだ。
構わないよ、と言うと遠慮がちにじゃぁお願いしますね、とチカちゃんはふわりと微笑んだ。
可愛いなぁ……。
そんなことを思っていると再び背後から声をかけられる。
振り向くとそこには凛が立っていた。
「楓、ぬーがら探しものかぁ?」
凛はそう言うとチラリとチカちゃんを見た。
それに凛へと小さく会釈をしたチカちゃんはちょっと私の後ろへ隠れてしまう。
きっと人見知りなんだろうな
「沖縄の歴史の本探してるんだけどさ、凛わかる?」
だぁならあまだぜ(それならあっちだぜ)
そう言って奥の本棚を指差す凛
「あー、ありが『2年4組五十嵐楓。今すぐ俺のところまで来なさい』おー……」
そん凛にお礼を言おうとすれば放送の合図もなしに呼ばれた自分の名前と良く聞きなれた声にマジか…と肩を落とす。
それに凛はあいひゃぁとスピーカーを見上げて苦笑する。
「永四郎ぬーがらわじっちょるさぁ……」
「あー……ゴーヤーかな……」
ちょっと心当たりがあるからこっそりと溜息を吐き出す。
そう呟いた私に凛はぬーしんちゃんやっさー?と聞いてくる。
「悪いのは裕次郎だよ……私は便乗しただけ」
ちょっと木手の鞄の中のゴーヤーを隠しただけで…と答えるとそりゃわじるさぁと笑われる。
『10秒待ちましょう。1秒でも遅れたら……ゴーヤーですよ?』
再び聞こえてきたその声にビクリ、と背筋が伸びる。
とうとうゴーヤーが発見されたのか。
ってか放送機器を私用で使うなよ!!
それを許すな放送委員!!
「ちょっ、まっ!!凛ごめん!!チカちゃんの案内よろしくね!!」
「あぃ?!ワンが?」
私は凛にその場を任せると猛ダッシュで図書館を飛び出した。
後ろで凛が何か言っているがまぁそんな事より今は自分の身の方が優先だった……!!

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