そして君に恋をする
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校内を案内してもらいつつそんな先生と談笑をしながら各教室を見て回る。
見て回っているうちに先生はいつの間にか沖縄弁から標準語になっていた。
たまに私が返事に詰まっていたせいもあるんだろう。
なんだ…、標準語もちゃんと喋れるんじゃないか。
そんなこんなで校舎全体を案内してもらっていたらいつの間にか午後の授業まで終わってしまっていた。
先生は別段気にした素振りも見せずそれじゃぁまた明日な、と去って行ってしまったので私もあまり気にしないことにした。
大体の場所は把握できたし明日からは迷子にはならないだろう。
そんなことを思いながら教室に入ると教室にはもう数人しかクラスメイトは残っていなかった。
やっと戻ってきた転校生に、皆からの視線が注がれる。
それに小さく会釈をしてそそくさと自分の机へと向かいそこにかけてあった鞄を手に取った。
結局今日は筆箱すら使わなかったなぁ。
テニスラケットはこのままでも良いだろうと思いながら隣の席を見てみる。
もちろん隣の席の木手君はすでに部活に行っていてここにはいない。
明日、どんな顔をして会えば良いんだろう……。
そう思いながら一つ溜息を吐き出して帰路へとついた。