灰色世界

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ピンポン、と押した知人宅のインターホンに、応答を待つよう扉の前で待機をしていれば案外早くにガチャリ、と開いた扉。
「やっほー、錦君!」
「……何の用だよ……」
予告もなしに自宅訪問した私を出迎えてくれた錦君はそれそれはもうホント嫌そうな顔を浮かべてくれた!!ホント失礼だな、お前……
きっとこれから何処か出掛ける予定だったんだろうオシャレをする錦君に、ちょっと時間良いかね?と声をかければ腕時計を確認した彼が2.3分なら…と言ってくれたけど、2.3分で済ませられる話しなら突撃訪問なんかしてねぇよ、馬鹿……!!!
「分かった。じゃぁ今度貴未ちゃんに君の赤裸々な幼少期を楽しく可笑しく語ってあげることにするよ。邪魔したね」
「アンタな、知ってっか……?ソレを世間一般じゃ脅迫って言うんだぜ?」
そう言って帰ろうとすればガシリ、と掴まれた腕に米神をヒクつかせる錦君。
君が素直にウンって言ってくれればなんの問題もないのだよ。
私だって申し訳ないとは思ってるよ、だけどこんな事相談できるの錦君ぐらいなんだもん……。
「ゴメンね、相談終わったらすぐ帰るから」
「あ〜……、ったくさっさと上がれよ」
そう言って手を合わせれば観念したように溜息を吐きだした錦君。
クソ面倒くせぇ、と声を漏らした錦君はそれでもなんだかんだ言いつつ私の事を家へと上げてくれた。

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