灰色世界

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「放っておいたら危険だっつてんだろ、クソニシキ!!」
「アイツは問題ねぇっつってんだろうがクソトーカ!!」


月山襲撃事件もひと段落し、やっと病院から出られた私は、そう……私入院してたんですよ。今の今までっ……!!!
やけにお腹痛いな、とは思ってたけど、肋骨3本折れてたんだって♪さっすが喰種の拳!容赦ねぇなクソ山の野郎……。
フツフツと湧いてくる怒りに、あんていくで珈琲でも飲んでクールダウンしようと扉を開ければ聞こえてきたその声に、顔を突き合わせて睨み合うトーカちゃんと錦君を見て何してんだ…?と呆れてしまった。
「あ、いらっしゃいませ久遠さん」
「こんにちは、金木君。で……?あの二人は何してんの?」
お客が来たことにも気付かず睨み合う二人に、そんな私に気が付いて声をかけてきてくれた金木君にヒラリ、と手を振った私は再び言い争いを始めたトーカちゃんと錦君へと視線を向ける。
「そ、それが……貴未さんのことで、まだちょっと……トーカちゃんが納得してないみたいで」
危険だ、って…。と声を漏らして困ったようにトーカちゃんを見やった金木君に、あぁ成程…と声を漏らしてカウンターへと腰掛ける。
トーカちゃんがなかなか納得できないのも分かるけれど、あぁやって常に神経尖らせてると疲れちゃう気もするなぁ……。

「これはアンタだけの問題じゃねぇんだよ、ニシキ!!あんていくにも関わってくるっつってんだろ?!アンタはたった一人の人間のせいで、皆が危険な目に遭っても良いって言うのかよ?!!」
「もうあれから何週間経ってると思ってんだクソトーカ!!通報されてたらとっくの昔にココに白鳩が来てんだろーがよ!!」

そう言って問題ねぇっつの!!と声を荒げた錦君に、ひどく苛立ったようにそんな錦君を睨みつけるトーカちゃんを見て、コトリ、と置かれた珈琲カップに呆れる古間さんへと視線を向けた。
「まぁ、トーカちゃんがピリピリするのも分からなくないけどな。人間に正体を知られるって言うのはソレだけリスクが増すってことだしね。ま!もしCCGがここに攻め込んで来たとしてもこの『魔猿』が返り討ちにしてやるけどね!」
そう言ってビシリ、と蝶ネクタイを直し自慢げに胸を張った古間さんを一瞥し珈琲カップを手に取り、未だに睨み合うトーカちゃんと錦君へと視線を視線を戻す。

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