灰色世界

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「ん―……と、合挽き肉に卵と……あぁ野菜も食べなきゃな……」
何もない休日の午後、一人寂しく夕飯の買い物をする私。
寂しくなんか…ないんだからねっ!!!じゃなくて……
あの臓器移植のニュースからもうふた月程経っているけれど、周りは何も変化はなくて私もいつも通りの日常を送っているのが現状だ。
あれ以降錦君からの連絡もなく、もしかしたら今頃金木君に串刺しにされてお部屋でオネンネしてるのかもしれないな、と思いつつ買い物カゴに卵を入れる。
まぁ、ぶっちゃけあの子はなんだかんだで助かるんだから放っておいても問題ないだろう、と勝手に解決させてあとは何が必要だったかなぁ、とスーパーを見て回っていればふと、目に留まったソレ。
喰種にさえ遭遇しなければいたって平和なこの世界にも、どうやら『四季』というものは存在するらしく、桜が散れば夏が来るように、イベント行事もちゃんと来るらしい。
「節分の季節か……」
恵方巻きと一緒に置かれる豆まきセットに、豆の入った袋に括りつけられている紙製の鬼のお面を見てどうしようかな…、と頭を悩ませる。
恵方巻きは買うとして………豆まきかぁ、一人でやって何が楽しいんだろ……
いや、そもそも楽しむための行事じゃないよな。
厄払いなんだからちゃんとやらなきゃな、と考え直してその鬼のお面付き豆まきセットを恵方巻きと一緒にカゴへと投入する。
最悪頭に鬼の面つけて一人二役で豆まきやる事になる気はするけど、まぁそれは今は考えない事にしておこう。
必要なものはコレで全部かなぁ?と買い物カゴの中身をチェックした私はそのままレジへと向かった。

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