純愛讃歌

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ピッコロと森で修行を始めて早ひと月が経とうとしていた。
森の中で木の実を集めたり、たまに毒蛇なんかを捕まえて食糧にするブラックサンダーはとてもパワフルで
流石元賊だな、と木々の間を駆け抜けるブラックサンダーを見ていたピッコロは小さく感嘆の声を漏らした。
悟飯とは違い元々野生に近い生活をしていた彼女にとって、森での暮らしはそれほど苦ではなかったのだ。
最初の頃は夜が怖い、と言って眠れなかった彼女も、呼びかければ5度に1度は返事を返してくれるピッコロに、彼が側にいる安心感からか最近では雨が降ろうが雷が鳴ろうが夜もぐっすりと眠る様になっていた。
「ピッコロさーん!お昼にしよー!」
森になる木の実をかき集めソレを拠点とする小川の近くに置いたブラックサンダーは姿の見えないピッコロへと声をかけた。
それに瞑想をしていたピッコロは目を開けるとおーい!と聞こえてきた声にブラックサンダーの元へと降り立った。
「メシぐらい一人で食え」
俺はいらん、と言ったピッコロにいつの間にか魚を獲っていたブラックサンダーはソレを火にくべると山盛りの木の実の中から真っ赤なリンゴを取り出した。
「食べれないわけじゃないんでしょ?だったら一緒に食べようよ!」
孫家でも時折固形物を口にしていたピッコロに、ブラックサンダーはそう言うとその綺麗に色んだリンゴをピッコロへと投げ渡した。
ソレをキャッチしたピッコロはどこか楽しげに魚を頬張るブラックサンダーを見やると小さく鼻息をついてその場に腰を下ろした。
シャクリ、と音を立ててリンゴに齧りついたピッコロにそんなピッコロを見やったブラックサンダーはふふ、と笑みを零すとあっという間に魚を平らげ山盛りの果実へと手を伸ばした。
「それは食うな」
そう徐に口を開いたピッコロに、リンゴによく似た果実を食べようとしていたブラックサンダーはキョトリ、と目を丸くさせると手に持っていたソレへと視線を落とした。
「有毒性のある実だ」
死にたくなければ捨てて来い、と言ったピッコロにビクリと肩を震わせたブラックサンダーは手にしていたソレを慌てたように遠くへと投げ捨てた。
あとコレとコレも毒がある、と言ったピッコロは木の実の中に混じっていた毒性のある実を取り出すとポイ、と川へと投げ捨てた。

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