純愛讃歌

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「ブラックサンダーちゃんもだいぶボク達の動きについてこれるようになりましたね」
「えー、まぁ。手加減されてる感半端ないけどね」
今日も今日とてボロボロになった体に鞭を打って孫家へと帰る4人に、そう言って自分を振り返った悟飯を見やったブラックサンダーはハハハ、と乾いた笑いを浮かべた。
自分と組み手をしている時と、ピッコロや悟空と組み手をしているときの悟飯の動きの違いを思い出したブラックサンダーは溜息を吐きだすと前を飛ぶ悟空とピッコロを見やった。
何やら話しながら空を飛ぶ二人に、お腹空きましたね、と言った悟飯へと視線を戻したブラックサンダーも空腹を訴えるお腹を押さえるとそうだねー、と笑みを零した。
「はっ……?!何言ってんだピッコロ?!そんなことチチが許すわけねぇだろ?!」
今日の夕飯は何かな―、と楽しげに声を漏らしていた二人はそう声を上げた悟空に前を飛ぶ二人を見やった。
何やらまた話し始めたピッコロと悟空に、どうしたんだろう?と顔を見合わせた悟飯とブラックサンダーは下降を始めた二人に、見えてきた孫家に同じように地面へと降り立った。
トトトン、と着地を決めて歩き出した悟空達に、けどよー、と悩ましげな声を漏らした悟空を見やったブラックサンダーは少し駆け足でピッコロの隣に並ぶとどうしたんですか?とピッコロを見上げた。
ソレにブラックサンダーを見下ろしたピッコロは口を開きかけ、やぁっと帰ってきただ、と聞こえた声にチチへと視線を向けた。
日もどっぷりと暮れ夕飯時には少し遅い時間帯に帰ってきた4人にチチは腰に手を当てるとそんな悟空達を出迎えた。
「よぉ、チチ!今けぇったぞ!」
「お母さんただいま帰りました!」
「ただいま、チチさん!」
三人三様の返事を返したブラックサンダー達に、チチもどこか楽しげに笑みを浮かべると汚れた4人を見やりまずは風呂だな、と五右衛門風呂を指差した。
それに誰が一番に入るかじゃんけんで決めよう、と言った悟空に嬉しそうに手を構えたブラックサンダーは引っ張られた襟首にグェ、と声を漏らすと襟首を掴んだピッコロを仰ぎ見た。
「な、なんですか、ピッコロさん」
首絞まる、と襟元を押さえたブラックサンダーにそんなブラックサンダーを一瞥したピッコロは不思議そうに自分を見やったチチに視線を向けるとチラリと悟空を横目に見た。
「どうしただ?ピッコロさ」
「コイツと俺は今日から山で生活をする」
苦笑を洩らし頭をかいた悟空に、チチへと視線を戻したピッコロはそう言うとはっ?!と声を上げたブラックサンダーを小脇に抱えチチの返事も聞かぬままその場を飛び去ってしまった。

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