純愛讃歌

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「ねぇ、師匠はあとどのくらい技持ってんの?」
魔貫光殺砲でしょー、魔閃光でしょー、とピッコロの後ろを飛びながら指折り技名を挙げていくブラックサンダーにピッコロはそんなブラックサンダーをチラリと見やると再び正面へと視線を向けた。
「さぁな」
「えー、自分の技のレパートリーぐらい知ってるでしょ?」
それとも見せたくないんっすかー?となんとかピッコロに追いついてその横顔を見やったブラックサンダーに、ピッコロはキッ、とその場に静止した。
急に停止したピッコロにブラックサンダーも慌ててその場に止まると不思議そうにピッコロを振り返る。
師匠?とかけられた声に何かを考えるようにブラックサンダーをジッと見ていたピッコロは小さく溜息を吐きだすと来い、と言って下降を始めた。
それに小首を傾げたブラックサンダーもピッコロのあとに続くように下へと降りた。
ト、と軽い着地音で森の中に降り立ったピッコロに、その正面へと着地したブラックサンダーは先程の修行で疲れたんだろうふぅ、と溜息を吐くと近くの木に背を預けた。
「何か新技教えてくれるの?」
着ていたマントとターバンを取り去ったピッコロにそう小首を傾げたブラックサンダーは気を溜め始めたピッコロを見やるとパチクリと瞬きをした。
「はぁっ!!」
「へっ………?」
気の開放と共に眩い光を放ち2人に分身したピッコロにブラックサンダーはキョトリ、と目を丸くさせた。
「「分身だ」」
「あ、あぁ……はい。」
見りゃわかるよ、と言葉にしようとしたブラックサンダーは次いで距離を取り向かい合ったピッコロ達を見やると口を閉じた。
「でゃっ!!」
「はぁっ!!」
そのまま組み手を始めた二人になんだ?と首をかしげていたブラックサンダーは片方のピッコロの触角が光ったことにギョッと目を丸くさせた。
ビビビッ!!と音を立てて発射されたビームに、それを後方へと飛んで交わしたもう一人のピッコロ。
再び構えを取ったと思ったら今度はもう片方が徐に口を開いた。
キラリと光った口の中に、まさか…、と声を漏らしたブラックサンダーは口から発射された気功波を見やると顔を引きつらせた。
ソレを手の甲で弾いたもう一人に、チュドン、と木をなぎ倒したソレを見やったブラックサンダーは再び二人のピッコロへと視線を戻した。
「ハッ?!!!」
そのまま接近戦を始めた二人を見ていたブラックサンダーはギュンッ!と伸びたその腕に思わず声を漏らしていた。
片方を追いかけるその腕に、ソレを避けながら攻撃を仕掛けるもう一人のピッコロ。
縦横無尽に木々の間を伸びていくピッコロの腕にブラックサンダーは自分の腕へと視線を落とした。
(え……?アレって地球人でもできるのか……?)
そう思い悩ましい声を漏らしたブラックサンダーはおい、とかけられた声に小さく肩を震わせるといつの間にか目の前に立っていたピッコロへと視線を向けた。
「他にもまだあるが、だいたいこのぐらいだ」
そう言って一人に戻っていたピッコロに、ブラックサンダーはなぎ倒された木々を見やると目の前の師匠を見上げた。
「あー……、うん。せめて人間が可能な技を教えてください」
ホント何でも有りだな、と零したブラックサンダーに、どこか苦笑を浮かべた弟子を見やったピッコロはクツリと笑うと空へと飛び上がった。
そんな師匠を見上げていたブラックサンダーも早く来い、と言ったピッコロにそのあとを追いかけた。



私の師匠はナメック星人


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