純愛讃歌

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「でりゃぁ!!」
「ったぁ!!」

ビシバシと音を立てて組み手をする悟飯とブラックサンダーに、そんな二人を腕を組んで眺めていたピッコロは悟飯に吹き飛ばされて岩山に激突したブラックサンダーを見やると悟飯の元へと向かう。
「調子はどうだ」
「ピッコロさん!ブラックサンダーちゃんもだいぶ強くなってきましたよ!」
そう言って少しだけ掠めた道着に、ガラガラと崩れた岩山の下から這い出てきたブラックサンダーを見やった悟飯。
フラフラと飛びながらこっちへと戻ってきたブラックサンダーに、ピッコロはそんなブラックサンダーを見やると小さく眉を顰めた。
随分と良い動きをするようになったブラックサンダーに、それでもまだ気の扱いに慣れないのか吹っ飛ばされては岩山に激突する彼女を見やったピッコロはフム、と声を漏らすとちょっと来い、と言って地面へと降り立った。
ソレに顔を見合わせた悟飯とブラックサンダーも下へと降りると不思議そうに目の前に立つ師匠を仰ぎ見た。
「修行を始めてもうふた月だ。何故貴様は気功波の類が打てん」
「………キコーハ?」
そう言ってどこか眉を顰めたピッコロに、ブラックサンダーは何それ?と首を傾げた。
ソレに今度はピッコロと悟飯が顔を見合わせる。
「そういえば………、ボク達一度もブラックサンダーちゃんに気功波のこと教えてませんでしたね……」
「………………」
もうふた月も修行をしているのに、今まで一度もそのことについて話していなかったことにピッコロも悟飯もしまった、と言う表情を浮かべた。
「とりあえず……悟飯、一度やって見せてやれ」
「はい!」
疑問符を浮かべ自分達を見てくるブラックサンダーから視線を逸らしたピッコロはそう言って悟飯を見下ろした。
それに元気よく返事を返した悟飯はどこかウキウキとしていて、見ててくださいね。と言うと遠くに見える岩山へと向き直った。
腰を落として両手を腰辺りに構えた悟飯に、ブラックサンダーはそんな悟飯を不思議そうに見やった。
「かぁめぇはぁめぇ………」
目に見えるくらい手の平に集まる気に、ピシピシと音を立てて悟飯の周りの石が崩れる。
頬を撫でた生温かい風に、目を見開き悟飯を見やったブラックサンダーはブゥン、と音を立てて出来あがった気の弾に声を詰まらせた。

「波――――――!!!」

掛け声とともに手から解き放たれたエネルギー弾に、遠く離れた岩山が音を立てて崩れ落ちた。
あと型もなく消し飛んだ岩山に、どこか清々しそうに笑みを浮かべた悟飯を見やったブラックサンダーは冷や汗を流すとソッとピッコロへと視線を向けた。
「キコーハって……人間でも打てるものなの……?」
あれ人間技じゃない、と声を漏らしたブラックサンダーに修行を積めば普通に打てる、と返したピッコロ。
それにこちらに戻ってきた悟飯を見やり、崩れ落ちた岩山を見やったブラックサンダーは化け物か、と声を漏らした。

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