純愛讃歌

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ピッコロ達との修行も早1ヶ月が過ぎようとしていた。
舞空術も気のコントロールもそれなりに出来るようになってきたブラックサンダーは今悟飯と一緒に瞑想中だ。
ドドドッ!!と音を立てて落ちていく滝の側で宙に浮きながら目を瞑る悟飯に、ブラックサンダーは小さく欠伸を漏らすと片目を開けて隣に並ぶ悟飯をチラッと見やった。
「ねぇ、悟飯君。これって何のための修行なの……?」
自分達に瞑想をしていろ、と命じてどこかに行ってしまった師匠にブラックサンダーは眠くなってきた、と再び欠伸を漏らした。
「集中力を高めるための修行ですよ」
それに同じように片目を開けてブラックサンダーを見やった悟飯はそう返すと再び目を閉じる。
集中集中、と言って再び瞑想に耽る悟飯に、ブラックサンダーは溜息を吐きだすとその場でクルクルと回り始めた。
「だいたいさー、人に瞑想してろとか言ってあの緑マンはどこ行ったのさ」
「ピッコロさんならお父さんと組み手してますよ」
そう言ってもう集中力も切れたのか瞑想の型を解いて後ろ手を組んだブラックサンダーに、悟飯は遠くの方で感じるピッコロと悟空の気がぶつかる気配に再び心を落ち着かせる。
「何それ!私もそっちが良い!!」
悟空さんと組み手!とピタッ、と動きを止めたブラックサンダーはずるい、と声をあげた。
ピッコロかそれ以上に強いであろう悟空はちょくちょく自分の修行に付き合ってくれているのだ。
きっとチチに釘をさされているからなんだろうがピッコロよりも遥かに優しく組み手をしてくれる悟空に、ブラックサンダーは不貞腐れた表情を浮かべると溜息を吐きだした。
「だいたいピッコロさんは私に対する優しさってのが見えないんだよねー……」
事あるごとに自分をどつくピッコロに、ブラックサンダーは深々と溜息を吐きだすと再びクルクルと回り始める。
舞空術を覚えてからと言うもの格段に動きのよくなったブラックサンダーに、悟飯はソッと目を開けるとそんなブラックサンダーの後ろに静かに現れたピッコロを見やると再び目を閉じた。
「ブラックサンダーちゃん、そろそろ瞑想に戻らないとピッコロさんに怒られますよ」
「えー、大丈夫大丈夫!悟空さんとの組み手に夢中できっとこっちのことなんて気付いてないだろうから」
「俺が気付かないとでも思ったか、この馬鹿者ッ!!!」
あの師匠、とカラリと笑ったブラックサンダーは自分の後ろから聞こえたその声と、脳天に落ちた容赦のない拳骨にギャァ!!と悲痛な声を上げると真っ逆さまに滝つぼへと落ちていった。

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