純愛讃歌

□1[人造人間編]
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今日も今日とて人造人間との戦いに備えて修行に励んでいた悟飯は、その場になかなか現れない我が師匠に不思議そうに小首を傾げた。
普段ならば自分よりも早くに荒野へとやってきて先に瞑想をしている彼が、集合時間に遅れているのだ。
そのことにう〜ん、と首をかしげていた悟飯は遠くの空に見えた真っ白いマントと緑色にあ!と嬉しそうに声を上げると大きく手を振った。
「ピッコロさーん!」
こっちです!と手を振った悟飯に、その声に気付いたピッコロが悟飯の元へと降りてくる。
トン、と軽い着地音で地面へと降り立ったピッコロに、顔を綻ばせていた悟飯は、その脇に抱えられている人物を見やるとえ…?と声を漏らした。
「あ、あの…ピッコロさん……?その子は……?」
「あぁ、山奥に捨ててあったのでな、拾ってきた」
そう言って脇に抱えていた小さな少女をペイ、と地面へと投げ捨てたピッコロに、コロリと転がった女の子を慌てて起こした悟飯はえ?!を声を上げた。
「そ、それきっと迷子ですよ!!」
そう言ってどうしよう、と声を漏らした悟飯はポカリ、と放心状態の女の子を見やると困ったようにピッコロを見上げた。
少しだけ批難の色を浮かべた悟飯に、腕を組んだピッコロはピクリともしない少女を見下ろすと小さく眉を顰めた。
「捨ててあったんだ。嘘だと思うなら本人に聞いてみろ」
そう言って鼻息をついたピッコロに、そんな…、と声を漏らした悟飯は再び少女へと視線を戻した。
どこを歩いてきたのか分からないが泥と煤で汚れた顔と体に、随分とくたびれ所々破れている服を見やった悟飯はパチクリと瞬きをするとその少女の髪へと視線を向けた。
「銀色……」
珍しい、と思わず漏らした声に慌てて口を噤んだ悟飯はポカリ、と未だに口を開け言葉を発しない少女にあの、と声をかけてみた。

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