彼と私の航海日誌

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キャベツのゴマみそ炒めやらなんやら適当に作った私は夕飯を手にリビングへと向かった。
リビングに居たマルコさんは最近ではもうこの世界の物に馴染んだのか、TVのリモコンを片手にソファーで寛いでいた。
リビングに向かえばナレーターの声がソコから聞こえてきてそれにTVを見やると沖縄特集がやっていた。
「こっちにも、海があるんだねぃ……」
画面に映されたコバルトブルーの綺麗な海にそう零したマルコさんは食い入るようにTVを見つめていた。
それに食器をテーブルに並べた私は同じようにTVへと視線を向ける。
海の中を映しているのだろう色とりどりの魚が気持ちよさそうにTV画面の中を泳いでいた。
「そう言えばマルコさん海賊でしたね」
「あぁ、偉大なる航路(グランドライン)じゃ結構有名な海賊団だよぃ」
そんな魚達を見て思い出したようにそう言った私に、どこか嬉しそうに答えたマルコさん。
その『白ひげ海賊団』の話をするときのマルコさんはいつも嬉しそうな顔をする。
『エースが盗み食いをする』だとか『サッチのリーゼントがうざい』とか、船の仲間の話をする時のマルコさんは、呆れたようにそう言うけれど、とても幸せそうな顔をするんだ。
そんなマルコさんを見ていればどれだけその海賊団の人達がマルコさんにとって大切な人達なのかが分かる。
そう言って笑みを浮かべたマルコさんに私も笑みを浮かべるとTVへと視線を戻す。
「この辺りにも海はありますよ、今度行ってみます?」
「良いのかぃ?」
そう提案してみた私に驚いた顔をしたマルコさんはそんな私を見上げた。
それにウン、と頷いて再びTVを見やる。
「流石にこの海よりは綺麗じゃないですけどねぇ……」
良いですか?と聞けばマルコさんはその顔に笑みを浮かべると嬉しそうに頷いてくれた。
あぁ、やっぱりこの人は海賊なんだな。
きっと海が恋しくて仕方ないんだ。
頷いてくれたマルコさんに再び笑みを零すと私はテーブルへと向かう。
「今日は和のものを使ったご飯にしてみましたよー」
「それは楽しみだねぃ」
食べましょう。と言ってマルコさんを振り返れば、マルコさんもTVを切るとソファーから立ち上がった。



こがれる


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